『モチベーション3.0』ダニエルピンク著/講談社

こちらの本よりモチベーションについて、そして意義のある人生についてご一緒に考えてみたいと思います。

モチベーションの進化について書かれている本です。時代によってモチベーションの在り方も変わっていくことがより私たちの幸せにつながることを書いています。

モチベーション3.0とは何か

人間を行動に駆り立てるものは何か、と考えてみれば、原始時代は空腹を満たしたり、生殖など生存本能に基づくものであった<モチベーション1.0>。

工業化社会になってサラリーマン社会ができれば、アメとムチで駆り立てられた<モチベーション2.0>。こうしたOS(パソコンのOSのように人間を支配する決まり)が次第に機能しなくなり、モチベーションとは何か?を再び問わなくてはいけない時代が来ている。

現代社会を駆り立てているものは何か?これが本書のテーマであり、答えは<モチベーション3.0>である。

『モチベーション3.0』2ページ

人間にとってのやる気を、社会と働き方の変化によって分けるという発想が面白く、著者は私たちのモチベーションは2.0から3.0へ移行する時期だということを述べています。

私たちの多くはモチベーション2.0の世界で生きています。ただ、会社や上司の言うことを聞いていて一生安泰でいられる時代が終わりに近づいている多くの人たちにとって、あるいは、ただ言うことを聞いていることに疑問を感じている人たちにとって、モチベーションというものをもう一度考えてみましょうと提案しています。

著者はモチベーション2.0と3.0の行動の違いをタイプXとIに分けています。

<モチベーション2.0>のOSは、わたしがタイプ X と呼ぶ行動を前提として発展してきた。タイプ X の行動は、内部からの欲求というより外部からの欲求によってエネルギーを得る。(中略)

それに対して<モチベーション3.0>のOS、すなわち新しい時代の組織、思考、実行に対応するために必要なアップグレード版は、私がタイプIと呼ぶ行動を前提としている。タイプ I の行動は、外部からの欲求よりも内部からの欲求をエネルギーの源とする。

『モチベーション3.0』116ページ

著者は、タイプXの行動からタイプIに移行することをすすめています。外部からのアメとムチという構造がうまく働かなくなってきている現状、そして、自己実現という観点から誰かが与えてくれるモチベーションに頼るのでなく、自らの中にあるモチベーションを活かすことが大事だと言っています。

後ほどこのタイプXとIが出てきます。あなたはどちらのタイプの行動を行っていますか?

動機づけと行動

1949年、ウィスコンシン大学の心理学の教授が、霊長類の行動を調べる研究所を世界に先駆けて設立し、8匹のアカゲザルを用いて2週間にわたり学習に関する実験を行いました。

科学者は当時、主に二つの動機づけが行動に大きな影響を与えると考えていた。

一つは生理的動因である。(中略)一つ目の生理的動因が生き物特有のニーズから生じるものなら、もう一つは外部に起因にする。具体的には、ある特定の行動により周囲から与えられる報酬や罰などだ。 

『モチベーション3.0』9ページ

成功したらご褒美が、失敗したら罰がと言うアメとムチが行動に大きな影響を与えると考えられていました。モチベーション2.0ですね。

ところがこの実験ではアカゲザルたちは、2つの動機づけがなくても有意義な学習かつ、効率的な成果が継続したため、以下のような仮説が提示されました。

「課題に取り組むこと自体が、内発的報酬にあたる」という、「第三の」動機づけだ。実験対象のサルはただ仕掛けを解くことに満足感を覚えたので、継続したのである。サルたちは楽しんでいた。その喜び自体が、報酬だったというのだ。

『モチベーション3.0』9~10ページ

モチベーション3.0ですね。楽しいという内部からのモチベーションがサルたちの行動を促していたのです。

なんと、ご褒美をあげた方が、成功率が低かったそうです。
ただ、この説は当時は認められず、研究が進むのに20年は待たなければならなかったようです。

デシによれば、人間には「新しいことややりがいを求める傾向や、自分の能力を広げ、発揮し、探求し、学ぶという傾向が本来備わっている」という。だがこの三番目の動機づけは、ほかの二つよりも脆弱である。これを活かすためには、ふさわしい環境が必要となる。

『モチベーション3.0』16ページ

内部からのモチベーション、モチベーション3.0は自分を成長させるために、探求し、学ぶという行動であり、もともと人はこういう特性をもっているということです。

ただし、これらを発揮するためにはふさわしい環境が必要だということです。他人からのアメとムチの方が分かりやすかったり、社会的に守らなければいけないというものも多く、それらに従っていると動機付けがなされないまま一生が終わることになります。

ふさわしい環境は、家庭、学校、職場、コミュニティなどどこかにあるかもしれません。今、ないと感じている場合は探してみるのもおすすめです。

モチベーション2.0の欠点と利点

<モチベーション2.0>の OS は、非常に長期にわたって稼働してきた。実際、今やわたしたちの生活にしっかりと組み込まれているので、その存在にほとんどの人が気づいていない。(中略)業績の改善を図り、生産性を上げ、優れた点を伸ばすためには、優秀な者に見返りを与え、成績のかんばしくない者には罰を与えればよいとされてきた。

『モチベーション3.0』42ページ

モチベーション2.0は私たちの当たり前の社会ですね。この当たり前の仕組みがモチベーションに関係していたと考えたことすらなかったのではないでしょうか?

私たちの学校や会社のほとんどがこのシステムですね。
中にはこのアプローチに異を唱える人もおり、それが服装のルールの緩和や勤務時間の柔軟性などの改善であり、著者はこれらの改善を<モチベーション2.1>と呼んでいます。つまり、ほぼ変わらない変化だということです。

ほぼ変わらないにしても、服装や勤務時間の緩和は働きやすくするものです。ほぼ、が人によっては大きな変化となりますので、モチベーション2.0もどんどん進化して欲しいものです。

モチベーション2.0の欠点と役立つ場面

モチベーション2.0のアメとムチがうまくいかない理由として、内発的動機づけを失わせるほかに、創造性を蝕び、ごまかしや近道、倫理に反する行為を助長したり、依存性があるとしています。

ただ、欠点だけではこんなに長くモチベーション2.0が稼働し続けているわけはありません。どんなところで役立つのでしょうか?

例としてポスター発送作業をあげています。

このように具体的な条件付きの報酬は、内発的動機付けや創造性を弱めることは多いが、その欠点はこの場合にはあまり影響を与えない。ポスター封入作業は、激しい情熱も呼び起こさなければ、深い思考も必要ない。この場合にはアメが問題とならないどころか、功を奏する可能性がある。

『モチベーション3.0』99ページ

モチベーション2.0は、私たちが生きている限り当たり前にあることです。ただ、それらに気が付きよりよい、2.1や2.2などを考えることでより効率的になったり、働きやすくなったり、生活しやすくなるのでしょう。

モチベーション2.0の仕組みが有効であった頃と、今とは多くの人の働き方が変わったことにより、モチベーション2.0の仕組みでは上手くいかなくなったのですね。
それでもまだまだモチベーション2.0の仕組みが有効な場所もあります。その時にこんな方法を加えるとさらにうまくいくようです。

しかし、もしこの作業を実際にするなら、次に挙げる三つの重要なポイントを加えてみよう。成功の可能性が高まるはずだ。

・その作業が必要だという論理的な根拠を示す。
・その作業は退屈であると認める。
・参加者のやり方を尊重する。

『モチベーション3.0』99~100ページ

モチベーション2.0の改善方法の例ですね。いろんな場所でこのような改善が行われ、少しでも働きやすい環境がいろんな職場で作ることができるといいなと願っています。

大きな目的の一環であるという必要性、退屈ではあるという共感を示しつつ理解を得て、ある程度任せることにより、より早く的確に行ってもらえる可能性が高まりますね。

モチベーション3.0の3つの要素

ここからは、モチベーション3.0へと移行するために必要な要素をご紹介します。

自律性:自由に好きなように仕事をする

とりわけ、何をするのか、いつするのか、どのようなやり方でするのか、誰と一緒にするのか、という仕事の四つの側面に対する自律性だ。アトランシアの事例からわかるように、タイプIの行動は、この四つのTー課題(Task)、時間(Time)、手法(Technique)、チーム(Team)ーに関して自律性を得たときに現れる。

『モチベーション3.0』136ページ

最初にご紹介したタイプI=モチベーション3.0の行動を行うのに必要なことが自律性ということです。

わたしたちは、ゲームの駒ではなくプレイヤーになるために生まれてきた。本来は自律的な個人であって、機械仕掛けの人形ではない。私たちは生来、タイプIなのである。ところが、外部の圧力ー人は「管理」される必要があるという、ほかならぬその観念も含めてーが、わたしたちに備わっている初期設定を変更して、タイプ X へと変えようとする。もし、職場だけでなく、学校や家庭も含めて自分の環境をアップデートすれば、もしリーダーが人間の本質についての真実と、それを裏づける科学の成果を素直に認めれば、わたしたち自身も同僚も、人間本来の状態を取り戻せるに違いない。

『モチベーション3.0』156ページ

個人的な意見として、ゲームの駒がいいという人も一定数いて、管理されたい人もいるということです。なぜなら、プレイヤーになるのも、管理されないことも大変なのです。考えるということをしたくないために人はいろんな努力を行います。

モチベーション3.0の人間本来の状態を望む人は望む環境に、そうではない人は管理される環境に身を置けたり、移動が自由であったらいいなと思っています。

職場においては、まさにふさわしい環境と学ぶ人が必要になりますね。

熟達:上達させる

熟達とは、何か価値あることを上達させたいという欲求で、もっと良い生き方を求めて、従順から積極的な関与をすすめています。

熟達へいたる手段としてのエンゲージメントが、個人の生活において大きな力となる点も同じくらい重要だ。従順な態度は、肉体的な生存には有効な戦略かもしれないが、個人が充実感を得るためには、実にお粗末な戦略だと言わざるをえない。満たされた生活を送るためには、管理する側の要求を満たすだけでは十分ではない。それにもかかわらず、職場や学校では過剰に従順な態度を求められ、エンゲージメントはほとんど求められない。前者の態度でも、その日一日をかろうじて乗り切れるかもしれないが、後者がなければ翌日も頑張ろうという気力はわかないだろう。

『モチベーション3.0』162ページ

先ほどと同じく、こちらも満たされた生活をすべての人が送りたいのか、従順であり続けることに不満を持たない人もいます。いつも頑張らなければ気力も不要です。

個人的な体験として思うのが、この説に納得する人とそうでない人が職場でも学校でも家庭でも混在しているということです。最初に引用した「ふさわしい環境」でなければこれは実行されることはないと思っています。

目的:人生の意義が問われる時代 

人間は本来、活発に積極的に活動をするようにできている。人生で最も豊かな体験は、他人からの承認を声高に求めている時ではない。自分の内なる声に耳を傾けて、意義あることに取り組んでいるとき、それに没頭しているとき、大きな目的のためその活動に従事しているときだ、とわたしたちは知っている。

『モチベーション3.0』207ページ

個人的にはモチベーション3.0の世界で生きたいと考えていますが、全員がそうではないことも知っています。ただ、モチベーション1.0と2.0の世界しか知らない人も3.0の世界も知り、自分はどうしたいのか、そういったことを本書を読んで、あるいはこのブログを読んで考える、そういった一助になれば嬉しく思います。

充実した人生とはなんでしょうか?そのことを考えさせてくれる一文かです。

モチベーションを目覚めさせるツールキット

モチベーション3.0、やってみたい!どうやったらそんなふうに思えるんだろうと思われた方へ向けたキットです。まずは一読ください。

モチベーション3.0に移行するための方法を紹介しています。ここでは3つご紹介します。
ちなみに、人間の癖を直すにはしつこさが必要だそうで、新しい習慣や癖を身につけるための反復練習を要求しています。
身に着けたいと思われたあなた、ご一緒に頑張りましょう。

タイプIは生まれながらの資質ではなく、あとから作られるものである。世界は外発的動機づけにあふれているが、<自律性><熟達><目的>を仕事や生活に取り入れるためにできることは数多くある。ここでは、正しい方向へ進むための練習方法を紹介しよう。

『モチベーション3.0』212ページ

たくさんの方法が提示されていますが、こちらのブログでは3つご紹介します。

小さな質問を問い続ける「昨日よりも、今日は、進歩しただろうか?」

毎日の自分への確認です。日々の成長が必要ということですね。

わ、これは毎日言われているような気がします。

昨日の進捗はお伺いしていますが・・・
サトウさんは以前よりも進歩したと思われていますか?

はい、おかげさまでいろいろとできたり、進むようになってきました。以前より進歩できています。自分で毎日自分に質問するのはしんどいですが、聞いてもらえるのは有難いです!

サトウさんの進歩はとても嬉しいことです。

ちいさな目標と大きな目標を設定する

目標達成のためのゴールの設定とゴールに至るまでの目標設定と言う意味だととらえています。また、目標達成のために今すぐできることと、目標を達成しつつできることという意味もあります。

どちらも大事なことですので、バランスを取りながら目標までの道のりを進んでいけるよう応援しています。

人生の目標と目の前の目標、どちらも大事にしたいですね。

批判的なフィードバックを絶えず求める 実態を知らなければ上達のすべは得られない

自分ことは自分が一番よく知っていることもあれば、他人からの方がよく見えることもあります。内省だけでなく、的確にフィードバックを与えてくれる人に意見を求めるのは、時には辛いことですが、確実に良い方向に進みます。

個人的にフィードバックをもらっていますが、やはり批判は聞いていて楽しいものではありません。それでも受け入れて変えていくことで自分が成長できたり、良い成果が得られます。楽しいものではないですが。

現状を知ることを避けたい気持ちは誰にでもありますが、知ることで確実に上達できます。他人からのフィードバックが苦手な方はまずは鏡、録音、録画をおすすめします。

今回はモチベーションについての本書をまとめてみました。「ふさわしい環境」というのが非常に難しいと感じていますが、自分が欲しい場は自分で作るという方法もあります。

ぜひあなたの人生がこれまで以上に充実したと感じられるよう応援しています。

タスク管理パートナーでは、お客さまの「やりたい」を応援しています。一人で続けるのが難しい場合はお気軽にご利用ください。

YouTubeの動画もご覧ください