『人はなぜ先延ばしをしてしまうのか』ピアーズ・スティール著/メディアハウス

こちらの本より、先延ばしの原因と克服方法を知り、先延ばしをなくす、できるだけ減らしていく方法を学びます。

今回は先延ばしの原因についてまとめます。克服法については次のブログでご紹介します。

「私は、先延ばしをライフワークにしてきた人間だ。先延ばしの研究者としても、先延ばしの実践者としても、長年にわたり経験を積んできた。」という著者による、先延ばしの原因と克服法を解き明かす内容です。 

本書では、活用されずに終わる潜在能力と存分に花開く潜在能力、色あせて忘れ去られる夢と大きな実を結ぶ夢の違いを考える。そしてなにより、あなたの人生を「先延ばしの日々」から「実行の日々」に換える手助けをしたい。

『人はなぜ先延ばしをしてしまうのか』14ページ

毎日、いろんなことを先延ばししている方が、実行できるようになると多くのことが変わります。ぜひ先延ばしの原因と克服法を知って、あなたのやりたいことを進められますように。

先延ばししたくなった時に参考にしたいです!

様々な調査によると95%くらいの人は物事を先延ばしする時があると認めているぐらい、私たちにとって先延ばしは身近な問題です。

先延ばしの定義

私たちがやりたいことや、やるべきことを実行できないのはほとんどの場合、先延ばしが原因ということですが、その先延ばしとはどういう状態、どういう人のことを指すのか、まずは確認していきましょう。

自発的にものごとを延期すること

一六世紀に「procrastination」という単語が英語で用いられるようになった当初から、この言葉は「非合理な延期」という意味を持っていた。つまり先延ばしとは、「自分にとって好ましくない結果を招くと知りながら、自発的にものごとを延期すること」と定義できる。自分の首を絞めると承知の上で、という点がミソだ。

『人はなぜ先延ばしをしてしまうのか』16ページ

ポイントは先延ばしをした未来が決して明るいものではないこと、自分が大変になることが分かっていながら先延ばしを行うことです。

「procrastination」は先延ばしという意味です。
先延ばしをするとは、先延ばしをした結果(ほとんど良くない)が分かっていながら先延ばしをしてしまうことをいうのですね。

怠け者ではない

混同されやすいのだが、先延ばし癖と怠け癖は区別して考える必要がある。怠け者と違って、先延ばし癖の持ち主は、やるべきことを実行したいと思っている。実際、たいてい最後には実行するのだが、それまでに相当な苦労を強いられるのだ。

『人はなぜ先延ばしをしてしまうのか』14ページ

先延ばしはするけど、実行もするという点で決して怠けているわけはないのです。先延ばしをすることで自分の首を絞めることが分かっていながら先延ばしをし、それでも怠け者ではないので苦労をしながら最後(たいてい締め切り前)には実行するのです。

これはその通りです!怠けているから先延ばしをするわけではないんです。

完璧主義者ではない

一般に、先延ばしをする人は完璧主義者なのだとよく言われる。自分に課す基準が高すぎて、その理想に届かないのがいやで、課題に手をつけられない、というわけだ。(中略)しかし、「先延ばし人間=完璧主義者」説にはデータの裏付けがない。

『人はなぜ先延ばしをしてしまうのか』29ページ

完璧主義者と聞くとどんなイメージがありますか?けっして悪いイメージばかりではないはずです。先延ばしをする人の中には、このように言うことで、先延ばしの言い訳に使っている人がいる/いたことがこの先延ばし=完璧主義者という構図を作ったことになります。

期限に余裕をもって間に合うように完璧に計画を練り、計画通りに完璧に実行しているのが真の完璧主義者ですね。

先延ばし研究の分野でも詳しく研究がなされているテーマで、何万人もの人を対象に調査が行われた結果、ほとんど相関関係がないということです。

遺伝的要因

そのような行動パターンは、遺伝的な要因で生まれる面がある。私たちの脳は、ものごとを先送りするように回路が敷かれているのだ。先延ばし癖は、一億年に及ぶ人類の進化の歴史を通じて形づくられたものであり、人間という存在の性質そのものに深く刻み込まれている。

『人はなぜ先延ばしをしてしまうのか』14ページ

先延ばしは、文明の進歩とともに深刻な問題になりました。
先延ばしの起源はおそらく9000年くらい前に農業が始まった時。人類が初めて人為的に設けた締め切りは春に畑に種をまき秋に作物を刈り取ることでした。
9000年前先延ばしなどという現象は存在せず、当時の人類は生き延びるために欲求通りに行動していて、私たちの脳はそういう時代に合わせて設計されています。

ぼくたちの脳は9000年ぐらい前からあまり変わっていないのかあ。

しかしその反面様々な研究によるとそういう行動パターンを改めることは可能で、先延ばしを生むメカニズムを理解すれば期限のある課題に対して感じるストレスを和らげ締め切りを守る能力を高められるそうです。

希望が持てます!

先延ばしの原因

ではなぜ人は先延ばしをするのでしょうか?その原因を探ってみましょう。

何百件もの研究を通じて、先延ばし人間に共通する最大の特徴は衝動に負けやすいことだそうです。将来のためにいま我慢することが苦手なのです。
ここでは、その他の要因についても紹介します。

先延ばしを正当化してしまう、認めたくない

例えばあなたは、直近に先延ばしした課題について、以下の問いにどう答えるだろうか。
課題の実行に、こんなに時間がかかると予想していたか。
予定より遅れた場合に、こんなにひどい結果を招くと予想できたか。
土壇場で非常事態が起きて、そっちに時間を奪われると予想できたか。

正直に答えるのであれば、答えはたぶん「イエス」だろう。すべて予想の範囲内だったはずだ。しかし、正直になるのが難しいのでは?そこに、この問題の手ごわさがある。

ときには、破滅的な先延ばしを思慮深い選択にすり替えて正当化する人もいる。

『人はなぜ先延ばしをしてしまうのか』25ページ

自分の失敗や悪い部分を認めることはとても困難なことです。認めるということは責任を負うということでもあります。責任を時間や締め切り、誰かのせいや何かのせいにしている時には、正直になれなかったり、正当化してしまいます。

自分を正しく認識するのはとても難しいことです。

計画性の乏しさ

一方、計画性の乏しさが先延ばしの原因になりうるという研究結果は、先延ばし克服のヒントになる。適切な計画を立てれば、遠くの締め切りを日々の小さな締め切りに細分化し、自分の衝動性を味方につけられる。 

『人はなぜ先延ばしをしてしまうのか』64ページ

タスク管理パートナーのサービスでも締め切りのあることについて締め切りを確認し、締め切りのないことについては、ご自身で計画を立てて、行動してもらうようにサポートしています。

わかります!ぼくもタスク管理を始める前は、やることがごちゃごちゃしていて、計画どころでなかったから、先延ばしが多かったなあ。

どうせ失敗すると決めつける

結果に対する期待が大きければ、自信と前向きな考え方を築く土台になる。一方、結果に対する期待が小さく、目標を達成不能と決めつけると、目標に向けて努力することをほとんどやめてしまう。(中略)学習性無力感をいだいている人は、ものごとを簡単にあきらめる傾向が強い。

『人はなぜ先延ばしをしてしまうのか』40~41ページ

度重なる失敗や、他人からの意欲をそぐ言葉、あきらめざるを得ない環境など学習性無力感をいだいてしまう状況というのは誰にでも起こりうることです。

学習性無力感とは、自分が何をやっても無駄なのだと経験により学習した状態で、先延ばしを引き起こしている要因の正体は「期待」です。

課題が退屈

(前略)あなたがものごとを先延ばしするのは、主として課題を楽しいと思えない(言い換えれば、課題に価値を感じられない)ことが原因の可能性が高い。

『人はなぜ先延ばしをしてしまうのか』44ページ

課題に価値を感じられないというのは、課題が簡単すぎる/難しすぎる、意味や価値を感じられない、何のために行っているか分からない、やらなければいけないけどとにかくつまらない、苦手などの原因があります。これらの課題にやる気が感じられないため、先延ばしの対象になりがちです。

課題に対して感じる楽しさが「価値」であり、「不愉快な課題」は先延ばしされがちですね。

確かに、友だちと飲みに行く時間はあるけど、掃除や書類関係は後回しになりがちです。

目の前の誘惑に勝てない

衝動性が強い人は、欲求が強く、警戒心と慎重さに欠け、将来のことを考えるのが苦手だ。こうした傾向はすべて、ものごとを先送りする原因になりうる。なかでも、将来のことを考えるのが苦手な人は、スケジュールどおりに課題を完了させるためのペース配分が上手にできず、先延ばしの落とし穴にはまる事がほぼ避けられないように見える。このほかにも、よく考えずに行動する人、感情をコントロールできない人、直情的に行動する人は、ものごとを先延ばししやすい。

『人はなぜ先延ばしをしてしまうのか』45~46ページ

先延ばし人間に共通する最大の特徴である、衝動に負けやすい人は、目の前の楽しいこと、やりたいことに取りかかってしまい、大事な事ややりたいことが後回しになってしまいます。

時間があると思う、先の目標はどうしても先延ばしにして、目の前に近くなってからようやくとりかかってました。

期待、価値、時間は先延ばしを生み出す三つの基本的な構成要素です。期待するほどの結果がでない、課題に価値を見出せない、時間があるという状況を気持ちややる気だけに頼らずに、計画を立てる、タスク管理をするというような仕組みを作ることで緩和されたり、解消されたりします。

誘惑の強さと近さというのはポイントで、誘惑が近くにあると先延ばしが非常に助長されやすく、誘惑が最も強力なのは商品がすぐ手に入る場合で、簡単に手の届く場所にあると買いたいという衝動が増幅されます。今はネットで何でもすぐに買えるので、注意が必要な方もいらっしゃるかもしれませんね。

先延ばしをする人の言い訳集

どちらも聞いたことがあります。

ぼくはどちらも言ってました。

仕事を先延ばしする人が最もよく口にする言い訳は「追い込まれた方がいいアイデアが浮かぶんですよ」というものだ。そう感じる理由は、非常にはっきりしている。締め切り間近にならないと仕事に手をつけないとすれば、もっぱら締め切り直前にアイデアが生まれるのは当たり前のことだ。

しかし、土壇場で生まれるアイデアは、早い段階から取り掛かる場合より質も量も劣る。

『人はなぜ先延ばしをしてしまうのか』123ページ

アイデアや発想が必要な職業の方、その職場でその人しかできないことだとなかなか反論が難しいことでもありますが、いつもこれを言い訳にしている人には一度、「早い段階から取りかかる時とどちらが良いかを比べてみましょう」などとすすめてみるのもいいですね。細かいチェックが必要になるのでなかなか難しいことではありますが。

期限が迫った方が効率よく課題を処理できると言い張る人もいる。この主張は、部分的には正しい。タイムアップのブザーが鳴る直前に、私たちのモチベーションが最も高まることは間違いない。しかしこの理屈の問題点は、「早い段階で課題に取り組むと効率が悪化する」というふうに、狡猾に話をすりかえていることだ。

『人はなぜ先延ばしをしてしまうのか』123ページ

これも聞いたことのある言い訳ですね。早い段階で取り組むことの良さを体感してもらえる仕掛けが必要です。

言い訳をするのをおすすめできない理由は<克服法編>をお読みください。

罪悪感と恐怖心

先延ばし人間は、そうでない人たちより貧しく、不健康なだけでなく、不幸せに感じている。その一因は、先延ばし行為による付随するストレスと後ろめたさにある。ものごとを先延ばししていると、その罪悪感により、課題を実際におこなうときに味わう苦労以上に大きな苦しみを背負い込む。ようやく課題に取りかかったとき、ほっとする場合も多い。「なんだ、思っていたほどたいへんじゃなかった!」と感じるのだ。

『人はなぜ先延ばしをしてしまうのか』137~138ページ

先延ばしを行うことで、その一瞬は安心できるかもしれませんが、先延ばしをせずに取りかかる方が実は何倍も楽なんです。

先延ばしをすることによるストレス(結局終わってないため)、罪悪感、言い訳を考えたり、連絡をしたりする時間が先延ばしをしない時に比べて何倍にもかかるので、自分で自分の状況を難しくしているだけでなく、他人からの評価も低いものとなってしまいます。余計な手間暇も、ストレスも余計にかかるのも分かっていながら先延ばしをしてしまいます。

この大変な状況をできればなくしたいと思っている方は次の克服法編をご覧ください。

まさにその通りで、課題を行うことへの恐怖心に時間とエネルギーを奪われていましたね。

実際にやることも増えるので大変です。
先延ばしの原因と問題について確認できましたでしょうか?克服法編は次のブログでご紹介します。

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