『人はなぜ先延ばしをしてしまうのか』ピアーズ・スティール著/メディアハウス

先延ばしの原因と問題について書いてある<原因編>はこちらです。

先延ばしを克服する方法13のうち7つをご紹介します。1つでも実行してみたいなと思うものがあるといいなと思っています。

行動が大事なんですよね!

自信喪失と自信過剰の最適バランス

先延ばし克服プランをご紹介する前に、気持ちの持ち方についてご紹介します。

「信じる」ことができれば、期待をいだきやすくなり、先延ばし方程式でモチベーションを高める柱を築けるが、自信をもてなければモチベーションが減退するからだ。新しい課題や難しい課題に対して自信をいだけない人は珍しくないが、なかには自信喪失が慢性化し、なにごとも「どうせ失敗する」と決めつける人もいる。そういう低い自己イメージは、イメージどおりの悪い結果を招く。失敗を予想すると、失敗の確率が高まるのである。どうせ失敗すると思っている人は、本腰を入れて努力しないからだ。成功するためには、適度な楽観主義をもつことによりモチベーションを高める必要がある。

重要なのは、マイナス思考の悲観主義と能天気な楽観主義の適度なバランスを取ることだ。

『人はなぜ先延ばしをしてしまうのか』164~166ページ

さまざまな理由で、自信がもてなくなった方もいると思いますが、それでも今回は違うかもしれないと「信じる」ことと「期待」を持つことはモチベーションを保つ意味でも、先延ばしを防ぐ意味でも重要です。

ただ、過度な楽観主義も見積もりが甘くなるなどのマイナス面があるので、適度に楽観主義であることで先延ばしを防ぎやすくなります。

以前に紹介したブログにも書きましたが、「どうせ」「やっても無理」という気持ちだとせっかくの能力も生かせないのですね。

先延ばし克服の行動プラン

13のプランのうち7つをお伝えします。

あなたがやってみたいプランがありますように。すべてのプランを知りたい方は本書を手に取ってみてください。

成功の螺旋階段

コツは、取り組みやすい課題から始めて、少しずつ順を追って進歩していくようにすること。そして、意思がくじけそうになる大きな課題を小わけにして、手に負える範囲のものにすることだ。(中略)

興味のあることがらを選び、自分の現在の能力を少しでも高めるよう努力してみよう。その分野で成果を上げて自信が深まれば、ほかの分野でも難しい課題に取り組めるようになる。

『人はなぜ先延ばしをしてしまうのか』172~173ページ

できることから取り組むこと、自分が決めたことができるとそれは自信につながること、自信が新たな課題に取り組む意欲をもたらすこと、成功したことは応用ができること。ぜひこの流れをいろんなやりたいことで体験していきましょう。

いつも言ってもらっていることですね!

鼓舞される物語、仲間

多くの成功物語に触れて、モチベーションをかき立てよう。前向きな考え方の人たちと接することも効果的だ。自分が成功できると信じていて、さらに、あなたが成功できると信じてくれる人たちとつき合おう。

『人はなぜ先延ばしをしてしまうのか』177ページ

モチベーションをあげるという意味で、成功する本や映画に触れることも単純なことですが大事です。そして、人間は環境に影響されるので、人間関係にも気を付けるといいですね。自分に自信がない方は、あなたの成功を信じてくれる人たちの「あなたならできると」といった励ましや褒め言葉は否定せずに「ありがとうございます」と受け取りましょう。その言葉も成功への大事な欠片だと思っています。

お客さまはみんなできる方だと信じてサービスを毎日提供しています。

いつも応援してもらっています。

失敗を計算に入れる

人生は、いつも思うとおりに運ぶとは限らない。完璧を求めるのではなく、困難にぶつかったり、後退したりすることを予測しておくべきだ。

『人はなぜ先延ばしをしてしまうのか』186ページ

できるだけ事前に予想、計画しておくことでより対応がしやすくなります。それは気持ち的にもそうですが、何よりも計画通りにいかないと考えると時間の見積もりが違ってきます。失敗や遅れる可能性を考慮して計画を立てることで時間の見積もりがより正確になります。時間の余裕は気持ちの余裕も生み出しますが、先延ばしにはご注意ください。

自分はできると信じると同時に、現実を確認することは危機管理を行うために欠かせないことです。
計画を立てない人間は失敗するための計画を立てていると言った格言もあります。

先延ばし癖を自覚する

あなたが慢性的な先延ばし癖の持ち主で、その都度言い訳を考え出しては、自分をあざむいてものごとを先延ばししているとすれば、このテクニックが役に立つかもしれない。

『人はなぜ先延ばしをしてしまうのか』191ページ

自覚することで改善できます。自覚できなければ改善のための行動は起こせません。自分ができていないという面白くない事実は認めたくないものですが、認めることできることが以下です。

  • 先延ばしが改善される
  • 精神的に楽になる(取り組めると、罪悪感も恐怖感もなくなります)
  • 言い訳も連絡もしなくてよくなる
  • 時間の節約になる(先延ばしをすることでさらに時間がかかるため)
  • 他人からの評価が変わる

まず自分が先延ばし人間だという不本意な事実を受け入れる必要があります。ここがスタートです。

ゲーム感覚・目的意識

やらなければいけないことが退屈だと感じると、目の前の課題が重要でないと感じ、後回しにする傾向があります。

退屈を和らげるには、課題をもっと手ごわくすればいい。ただし、あまり難しくしすぎると、気持ちがくじけてしまう。課題の難易度と自分の能力の適度なバランスを取ることは、心理学でいう「フロー状態」をつくり出すうえで重要だ。

『人はなぜ先延ばしをしてしまうのか』198ぺージ

やるべきことだけど重要でない、退屈な事に、何かしらの目標を設定することでそれらを回避できる可能性がでてきます。

もっとも単純に手ごわくするには、タイムアタックがおすすめです。「25分でここまで終わらせる」というタイムアタックも「10分でできるだけやる」というのもいいですね。

課題を自分に関係があるものだと感じ、自分にとって重要な目標の追求に役立つと思えば、先延ばしに陥るリスクが小さくなる。裏を返せば、自分で決めたゴールに関係のない課題は、やる気をかき立てにくい。意に反して押し付けられる課題には、渋々取り組むことになる。

『人はなぜ先延ばしをしてしまうのか』199ページ

与えられた仕事でも自分なりの目標を作ることでやりがいは感じられますが、押し付けられた理不尽な課題こそ、早めに終わらせてしまいましょう。ちなみに相手や状況にもよりますが、しょうがなくやらなければいけない時は、自分がもっとも有利になる提出の時期、内容などを考慮してください。

ちなみに、年齢を重ねると先延ばしをあまりしなくなる理由は、この目的意識という要素で説明できる面が大きいのです。
私たちは大人になるにつれて物事の因果関係が理解できるようになり若い頃は無意味に感じた活動にも意味を見出せるようになるのです。

エネルギー戦略

疲労は先延ばしを生む最大の原因だ。あなたのエネルギー貯蔵庫の容量に限りがあることを忘れてはいけない。

『人はなぜ先延ばしをしてしまうのか』208ページ

体調を整えることは生産性にもっとも関わることです。エネルギーをしたり、効率的に使うために、以下のことがおすすめです。

  • 能率のいい時間帯に難しい課題に取り組む
  • 空腹にならないようにする
  • 週に何回かはエクササイズをする
  • 規則正しい睡眠
  • 同じ時間に寝る

誰もが知っていることですが、あなたがまだやっていないことを一つでも多く取り入れてエネルギーを確保しましょう。エネルギーを増やして節約できるそんな工夫ができるとベストです。

プレコミットメント戦略

長期の目標を貫くためのプレコミットメントは、ある程度早い段階に試みないと意味をなさないケースもある。誘惑があなたを屈服させる前に手を打つべきだ。まず、どういう誘惑が自分を待ち受けているかを把握する必要がある。

『人はなぜ先延ばしをしてしまうのか』236ページ

具体的な戦略として以下のようなものがあります。

  • 誘惑を手の届かない場所に追いやる、せめてなるべく遠ざける
  • 要求が大きく膨れ上がって課題遂行の妨げになる前に欲求を満たすように心がける、例えば空腹を我慢してドカ食いするようにならないように。
  • 誘惑に屈すると不愉快なことが起きるように準備して、誘惑の魅力を弱める
  • 習慣化で自動運転モードにして、考えないようにする
  • 未来を犠牲にしないという意識を持つ

近い未来のあなたが困らないように、今日のあなたのやることを進めていきましょう。

決して先延ばしをしない、としてしまうのも時と場合によっては物事が進みにくくなりますので「生産的な先延ばし」を行うことも時には検討してみましょう。
ただし、言い訳に使わないようにご注意ください。

楽しみによる支配、先延ばしの功罪

本書では、先延ばしに関するいろんな本を紹介しています。

自由市場では誘惑がますます強力になって、私たちの先延ばしを助長し、目標達成を難しくします。そういった警告をしている本をご紹介します。

『すばらしい新世界』で知られるオルダス・ハクスリーは1958年のエッセイ『文明の危機ー素晴らしい新世界再訪』の中で人々の思考をそらし、物を考えさせず、個性を喪失させて人々を支配する企てについて書いています。

私たちの世界はすでにハクスリーが予言した世界、楽しさによって考えることのない多くの人々が支配されている状況になっているのではと危惧してしまいます。

『すばらしい新世界』を下敷きに『愉しみながら死んでいく』を書いたニール・ポストマンは、このように書いています。

「オーウェルが恐れたのは焚書を行う人間、ハクスリーが恐れたのは、本を読みたいと思う人間がいないので焚書を行う理由がない状況」

「『1984年』は、苦しみによって制御されるが、『すばらしい新世界』は愉しみによって制御される」

ジョージ・オーウェルのディストピア小説『1984年』は恐怖政治によって支配されている世の中を描いていますが、『すばらしい新世界』では人が物を考えずに楽しみにふけることによる支配を描いています。
他にも『ザ・ ギバー』は人々を無知にすることにより支配しています。

『ハピネスTM』は自己啓発産業を皮肉った小説です。読むだけで成功が約束される本があっても、先延ばし人間はそれを読まず、そのおかげで世界は元通りになるというものですが、つまり、紹介した本書の有効なテクニックも実践されなければ効果は発揮されないのです。

物語と文体がかなり面白く、たまに品がなかったり、固有名詞が出てきたりするのでいいのかな?と思いますが、いろんな想像ができたりと読み物としておすすめです。上下2段構成に構えてしまいますが、読みだすと分量を忘れるぐらい面白く読めます。

著者のメッセージをご紹介します。
それでも一人では先延ばしをしてしまう方はタスク管理パートナーの活用もご検討ください。

先延ばしの克服に乗り出すために、誰かの許可を得る必要はない。招待状も必要ない。理想の人生を送り、理想の自分になるために、なにをする必要があるかは、あなた自身がよくわかっているはずだ。答えはすべて、あなたの手のなかにある。 

『人はなぜ先延ばしをしてしまうのか』291ページ