『決定力』正解を導く4つのプロセス チップ・ハース&ダン・ハース著/早川書房

自分の決定に自信があるかと言われると怪しいですねえ。

きっと、自信があると言い切れる人の方が少ないと思います。

本書から、意思決定の方法を学んで、今よりも少しだけ良い決定を、そして今よりも少しだけ自信を持って決定できるようにしていきましょう。 

なぜ正しい決定が難しいのか?

どうして私たちは正しい決定をするのが苦手なのでしょうか?
どうすればもっと良い決定ができるのでしょうか?


重大な決断を下す時には直感を信じた方が良いとアドバイスされることもありますが、直感もまた役に立たないことは、人生の重要な場面、例えば結婚相手を選んだり、大学を選んだり、就職する時に後悔することがあることで、そこまであてにならないとも言えます。

問題の一つは、みんな自分がどうするか分かっていると思い込んでいることです。分かっていると思い込んでいるからこそ、直感や本能だけを信じてしまい、その結果、自分にとって必ずしも良い決断ばかりではなくなってしまいます。

企業の優秀な意思決定者たちが従っている習慣(別の視点を探る、不確実性を認識する、自分の考えを否定する証拠を探す)は、家庭や友人関係でも役立つ。信頼できるプロセスは、ビジネスだけでなく私たちの人生にとっても必要なのだ。

『決定力』 16ページ

信頼できる決定方法は仕事だけでなく、プライベートでもぜひ活用したいものです。

直感や運に頼るだけでなく、信頼できるプロセスを活用することでより良い決定につながるということをご紹介します。

決定のためには、プロセスが必要

私たちは日常生活の大半を自動操縦で過ごし、いつもの日課をこなしています。

行動の4割は習慣になっていて、考えずに行っているんですよね。

意識的に考えて選択を行うのは1日にせいぜい数回なので、意思決定は回数としては一握りでも生活に大きな影響を及ぼしていることになります。

私たちは無意識に決定していたり、「いつも通りに」決定していることが多く、決定しなければいけないということをそもそも考えていないことが多いのです。

意思決定のプロセス(意思決定の罠とその解決方法)を知ることで、意思決定が必要だと気づくことができるようになります。

私たちが無意識のうちに注目しがちな直感的な感情、自分に好都合な情報、自信過剰な予測に基づいて選択するのではなく、もっと戦略的な点に意識的に光を当てるのだ。

『決定力』 39ページ

自分の「直感」だけを信じて、その決定を補足してくれるような情報ばかりに注目してしまいますが、そうではない視点を取り入れることで、より良い決定につなげていきます。

認識できると改善することができます。ぜひより良い決定の方法を知って活用してください。

意思決定の罠と解決方法

本書より、決断の際の4つの罠とそれらへの解決方法をご紹介します。

どれも経験したことがあるものばかりですねえ・・・

第一の罠:視野の狭窄
問題:選択に直面する。でも「視野の狭窄」によって選択肢を見逃してしまう
答え:選択肢を広げる

第二の罠:確証バイアス
問題:選択肢の分析。でも「確証バイアス」によって都合の良い情報を集めてしまう
答え:仮説の現実性を確かめる

第三の罠:一時的な感情
問題:選択する。でも一時的な感情によって間違った選択をしがちになる
答え:決断の前に距離を置く

第四の罠:自信過剰
問題:選択の結果を受け入れる。でも未来の出来事について「自信過剰」に陥りやすい 答え:誤りに備える

ここからはそれぞれの罠と対応について詳しくご紹介します。

第一の罠:視野の狭窄

視野の狭窄とは、選択肢を狭めすぎ、意思決定を白か黒かで見てしまう傾向のことだ。

『決定力』 20ページ

「もっと良くする方法は?」と考えずに、「やるかやらないか」「買うか買わないか」という二者択一になってしまうことです。

一言でいえば、ティーンエイジャーは視野の狭窄に陥りやすい。(中略)無数にある選択肢のほんの断片しか見えていない。そして、意思決定という点でいえば、組織もティーンエイジャーとそう変わらないことが分かっている。

『決定力』 54ページ

経験や知識の不足で若さゆえに視野が狭くなることは、多くの人が経験してきたことかと思いますが、組織もそう変わらないとは残念なことです。

これが本当なら、ぼくたちは何を決めているのか・・・

「若い頃は~」と今はできているかのように言うことや、「若者は~」と若い人に文句など言えませんねえ・・・

どうすれば視野の狭窄を避けることができるか

他の選択肢があると気付いていなければ選択肢を探そうと思わないように、視野の狭窄に陥っていることに気づいていないケースが多いので、視野を広げることが解決方法となります。

読んでいると、なんだそんなことかと思うことでも、実際に当事者になった時に気が付くのは難しいですよね。

その通りです。
ここでは、選択肢を広げる考えをご紹介しますが、読んだだけでは、実際の選択の際には思い出すことが難しいので、個人的なおすすめはタスクにして毎日確認することです。

視野を広げるちょっとした努力

  • たいていの場合は、選択肢は思っているよりも多い
  • もっといい方法はないか、他に何ができるだろうかと考える
  • 「~べきか否か」形式の意思決定を疑うようにする
  • 今考えている選択肢がどれも選べないとすると他に何ができるかを考える
  • 「AかBか」ではなく「AもBも」で考える

ついつい衝動買いをしてしまう人は、「このお金で別の何が買えるかな」と考えるだけでも、衝動買いを防ぐきっかけになります。

第二の罠:確証バイアス

私たちは生活の中にある状況について直感的に信念を抱いた後、その信念を裏付ける情報を探すという習慣があり、この確証バイアスと呼ばれる厄介な習慣が第二の罠です。

確証バイアスと、その対処法については、下記のブログにも書いています。

どんなに教養のある人でも思い込みに陥ります。人々はせっせとデータ集めに走りますが、自分がデータをごまかしているとは気づかないものです。

どうすれば確証バイアスを避けることができるか

  • 建設的な反対意見を聞く
  • 強制的に直感の逆を考える
  • 客観的に考える
  • 小さな実験を行って自分の仮説を検証する

私たちは本能的に自分の考えを裏付ける情報を探すので、逆のことを考えるには練習が必要です。

なかなか難しそうですが、例えばどんな風な練習ができますか?

関係が上手くいっていない、配偶者、家族、同僚などがいた場合、相手の言動を善意であると仮定して受け取ることで相手を肯定的にとらえることができます。

例えば職場で、愛想のない人がいたら、感じが悪いととらえずに、仕事の邪魔をしないようにしてくれているととらえることもできます。

見方を変えるとも言えますね。独りよがりにならないようにいろんな意見に耳を傾けてみたいです。

第三の罠:一時的な感情

難しい決断に直面すると、感情が揺さぶられる。思考が堂々めぐりする。状況について悩む。毎日のように心変わりする。(中略)

ああでもないこうでもないと悩んだ挙句、目の前が見えなくなっている。こういうとき、一番必要なのは大局的な視点だ。

『決定力』 27ページ

一時的な感情で決定するとたいてい失敗してきたので、時間を置くようにしています。

目の前のことしか見えなくなってしまっている時はなかなか良い決断ができにくいですよね。

合理的に考えて、変わらなければいけない状況においても、一時的感情は、変わることによる損失を回避したい気持ちと、長年慣れ親しんできた期間の長さから、現状維持バイアスが働き、今のままが正しいという結論を導き出します。

どうすれば一時的な感情を避けることができるか

  • 他人にアドバイスするつもりで考える
  • 一定の距離を置く
  • 優先事項を明文化する

意思決定を三つの時間枠で考えるのも有効です。その決定について今から10分後にどう感じるだろうか?10ヶ月後は?10年後は?この三つの時間枠で考えることで自分の意思決定と一定の距離を置くことができます。

これはいい方法ですね!これから使っていきたいです。

決断が難しいと感じるのは、一時的な感情もありますが、そもそも、人生の優先事項を見直さないと決断できないこともあります。

一時的な感情を鎮めて、大局的にみることができても、必ずしも意思決定が楽にならない時もあります。その時は、あなたの優先事項を確認することが必要になります。

情熱、価値観、信念といった感情的な問題への解決が必要となった場合は、「あなたにとって」正しい決断をすることが大切です。

また、優先事項を確認することは、仕事においても必要です。確認を怠ることで、核となる優先事項とは何の関係もない仕事で手一杯になり大事な仕事が疎かになることもあります。

優先事項を確認したい時にはこの方法も有効です。

第四の罠:自信過剰

私たちは生活の中で過去の意思決定を疑わないまま、無意識のうちに自動操縦に身を任せて生活しています。

習慣って便利だけど、気を付けないといけないものでもあるんですね。

仰る通りです。
そのため、1週間に1回、1ヵ月に1回、何か特別な出来事があったり、考えが変わった時などに時間をかけて習慣を見直すことも必要ですね。

私達は間違った意思決定にのめり込む傾向があります。決定をすることは、その抑制に効果的です。

私たちは自分の予測を過信している。未来について予想するとき、私たちは手元にある情報にスポットライトを当て、その情報から結論を導き出す。(中略)

いちばんの問題は、私たちが自分の無知に無知だということだ。(中略)

未来はみんなを驚かせる魔力を持っている。私たちは、存在するとも知らない場所にスポットライトを当てることなどできないのだ。

『決定力』 30ページ

無知の知でありたいという思いを持っているだけでなく、それらを確認したり、認識したりする何かを持っておくことが大事です。

どうすれば自信過剰を避けることができるか

  • 未来は点ではなく幅と考える
  • 問題を予期すると対処しやすくなる
  • 予測できないものには備える

だった一つの未来のシナリオを予測するのは不可能なので、最悪の結果から最高の結果まで結果を範囲で考えることで自信過剰を防ぎやすくなります。

さらに、最悪の結果や、起こりうる問題に対しての準備を行っておくことで万が一それらの問題が起こった時にも対処しやすくなります。

未来はバラ色だけでなく、いろんな色があることを考えて心の準備をしておくことも大切ですね。

自信過剰警告アラームを設定しよう

ブログの最初にも書いた「 みんな自分がどうするか分かっていると思い込んでいる 」、私たちのこの自信過剰を警告するアラームの設定方法をお知らせします。

自信過剰警告アラームを設定することは、選択肢があるということを気が付かせてくれます。 自動操縦に陥り、チャンスを無視してしまう頻度を減らすこと、そして安全地帯が設けられ積極的にリスクを取ることができるようになります。

アラームは以下の2つです。

  • 期限を決めること
  • 境界を設定すること 

境界の設定とは、例えば、このチャレンジには〇〇円まで使って良い、1日〇時間をまで費やして良いなどの範囲を決めることです。
例えば、衝動買いを例にアラームについて考えてみます。

第一の罠:視野の狭窄では、境界を考えることで視野が広がりやすくなります。

「絶対に欲しい!」と衝動買いしそうになった時に同じ金額で他に何が購入できるか考えることが有効ですね!


第二の罠:確証バイアスでは、3人の友人に相談するというような境界の設定で、いろんな意見が聞けます。

率直に意見を言ってくれる人を選んで、かつ素直に聞くことが大事ですね。

第三の罠:一時的な感情では、いい物をみつけたら3日は待つというような期限を決めます。

例外を作らないように気を付けないとですね。

第四の罠:自信過剰では、仮に大丈夫と思ったら給料日前に今月もピンチと言うことにならないように、使っていい額だけ袋分けにしておく、大丈夫と思わずに計画を立てるなどの境界を設定します。

適切な自信を持つことは大事ですが、過剰になってしまうと後で困ることもあるので、適切な境界を設定してみましょう。

意思決定のプロセスを取り入れる意味

プロセスを取り入れるとより良い選択ができるようになると分かったのですが、まだあるのですか?

著者の言葉から2つピックアップしました。「自信」と「改善」です。
まずはプロセスを取り入れることにより決定に「自信」が持てることへの説明です。

不確実性を無視し、偏った情報ばかり集めて得られる生意気な過信ではなく、自分にできる最善の意思決定を下したと心から思えたときに湧いてくる本当の自信だ。意思決定プロセスを用いたからといって必ずしも選択が易しくなるわけでも、毎回成功するわけでもない。でも心の落ち着きを得ることはできる。「何が足りないのだろう」と自問するのをやめ、苦悶のスパイラルから抜け出すことができるのだ。

『決定力』 353~354ページ

4つのプロセスを取り入れたとしても、毎回必ず正しい選択ができるわけではありません。それでも、4つのプロセスを意識して最善の決定を行えたと思えると決定に対しても結果に対しても自信が持てるようになります。

これが、プロセスを使うもっとも大事なことの一つです。

決定には不安がつきものですが、プロセスを活用することにより、不安が軽減され、代わりに自信がうまれます。

確かにそうですよね、決定した後に「あれで本当に良かったのかな」と悩む時間がなくなりそうです。それは、決定前にしっかりと調査、検討するからですよね!

サトウさん、仰る通りです。
また、決定前にプロセスを取り入れることで、完璧な決定はできなくても、今までよりも良い決定ができます。
改善された決定は、今までよりも良い未来をもたらしてくれるでしょう。
次にプロセスを取り入れることにより決定を「改善」できることへの説明です。

意思決定を完璧にすることなんてできない。でも、改善することはできる。もっと大胆に、賢明にすることはできる。正しいプロセスがあれば、正しい選択へと突き進むことができる。そして、正しい選択を正しいタイミングで行えたなら、そう、見違えるような未来が待っている 。

『決定力』 354ページ

着実な改善を成し遂げるには技術と練習が必要です。だんだん上手になってくるので、何度でも練習して、習慣になるまで実践することで4つのプロセスがあなたのものとなります。

毎日の決定がぼくの未来を決めているので、できるだけ良い決定を毎日行えるように忘れずにタスクに書いて毎日確認します!

サトウさん、完璧ですね。
良いと思うことでもすぐに忘れてしまうので、実行したいと思ったことはぜひタスクや紙に書いて毎日見て、できる時に実践してたくさん練習をしていきましょう。