『シングルタスク』デボラ・ザック著/ダイヤモンド社
こちらの本からシングルタスクで仕事の成果を上げる方法をお伝えします。多くの方がマルチタスクでないと仕事は終わらないと思われていると思いますが、本当にそうでしょうか?
まずはブログを最後までご覧ください。
シンプルかつ明確であることは想像以上に難しい。人は単純に思われるのを嫌がるものだが、シンプルを貫く人こそ本物である。ージャック・ウェルチ
『シングルタスク』19ページ
目次
マルチタスクを続けていれば成功するという神話
今日も忙しい1日だったのに、何だか達成感がなかったなあ。結局何も終わってないし・・・。
サトウさん、お疲れ様です。タスク管理パートナーでは、シングルタスクをおすすめしていますが、もしかすると・・・なかなか実行は難しいでしょうか?
いや、仰る意味は分かるのですが、仕事があり過ぎてシングルタスクができる余裕がないんですよ。
サトウさんのように思われている方に読んでいただきたいのが本書です。
マルチタスクは状況を改善するどころか、むしろ問題を悪化させる。そもそも人間の脳は、一度に複数のことに注意を向けることができないのだ。
『シングルタスク』38ページ
え?そうなんですか?じゃあ、僕がマルチタスクをしていると思っているのは何をしているのですか?
スタンフォード大学の神経科学者エヤル・オフィル博士は「人間はじつのところマルチタスクなどしていない。タスク・スイッチング(タスクの切り替え)をしているだけだ。タスクからタスクへとすばやく切り替えているだけである」と、説明している。
『シングルタスク』40ページ
マルチタスクは不可能だと書いてある本は他にも読んだことはありますが、タスク・スイッチングははじめて聞きました。
仕事の合間に、メールの確認をしたり、複数のやることを同時にさばいていると思っていた仕事もタスクを切り替えていただけなんですか?
本来、「一度に複数の作業をしようとする」こと自体が「気が散っている」ことを意味する。成果をあげたいーあるいは少しハードルをあげ、めざましい成果をあげたいーのなら脇目もふらず、目の前の作業に集中するしかない。
『シングルタスク』36ページ
むむむ、でも出席だけしていればいい会議の時に、企画案を考えながらまとめていますよ。これはマルチタスクじゃないですか?
とはいえ、意識的な努力を必要としない活動は、メインの作業と同時におこなうことができる。よって、これはマルチタスクにはあたらない。
『シングルタスク』42ページ
コピーを取りながら次の仕事を考えたり、洗濯しつつ、ルンバを回しながら、仕事するというような時は、考えることと、仕事がメインでその他は意識的な努力は必要ないという感じですね。
そうなんですか・・・わかりました。とりあえずシングルタスクの何がいいかちゃんと読んでみたいと思います。
サトウさんと同じく、シングルタスクは難しいと感じられている方も、まずはブログに本書の要点をまとめていますので、読み進めてください。
シングルタスクの原則は、 1つのことに集中して生産性を上げること
一度に1つのことに集中して生産性を上げることが、シングルタスクの原則です。シングルタスクを邪魔するものは主に2つです。
第一の理由は、あなたの頭の中にある。つい他のことを考えてしまったのだ。
第二の理由は、外部にある。外部からの刺激が、あなたの集中力を奪ったのだ。
『シングルタスク』25ページ
内からと外からと邪魔者は現れますが、対処方法はそれぞれに違います。
つい他のことを考えてしまうことへの対処方法
- 一度に1つの作業をすることを徹底すること
- マルチタスクをしていないかを確認し、改善点を検討する
- メモ(記録)をすることで脳に負担をかけずに記憶を管理する
マルチタスクを長く行っていた方にとって、いきなり1つの作業だけというのもどうしていいか分かりにくいかもしれませんが、おすすめは、空いている時間の会議室などを活用して一人になり、その時間は1つのことだけやることを決めるなどいつもと少し環境を変えて行ってみることです。
カフェに勉強道具だけ持っていくような感じですね。それしかやることがないから、確かに勉強に集中できます。
そして、メモをすることは本当におすすめの方法です。やることも新しいアイデアも3分後には記憶の彼方に消えていることもあるので、すぐにメモをしましょう。これを行うことでやるべきことを忘れないという効果もありますが、良いアイデアを実行に移せるチャンスも増えます。
メモ(タスク作成)の有効性については、上記のブログも参考にしてください。
メモをすることで覚えておかなくていい、思い出さなくていいことは想像以上に楽なので、すぐにメモやタスクにする習慣はおすすめしています。
外部からの刺激を減らす方法
- 目新しいタスクにすぐに目を向けずに時間を置く
- 他人の要求、評価より、自分を優先する
- 状況をコントロールする責任はつねに自分にあることを再確認する
- 電話やメールなどはミュートにする(事前に同僚などに知らせておく)
- デスクの上を片付けておく
外部からの刺激の多くは他人が運んできます。
デスクの上が片付いていないのは自分の問題ですね。
視覚的な刺激を減らす役割があるのは分かっているのですが、気が付いたら書類が積み重なります・・・。
それらをどのようにコントロールするか、方法を見つけることが大事になります。まずは自分がコントロールしやすいところから行っていきましょう。なかなか難しいと思われる方は、まずはデスクの片付けがおすすめです。
サトウさん、片付けは毎日1ヶ所だけ取り組むのがおすすめですよ。
他人の要求にすぐに答えてしまう方は、こちらのブログも参考にしてください。
新しい仕事、各種通知、視覚に入ってくるいろんな物、あなたが誘惑されやすい物やことは何ですか?つきとめて、つぼみのうちに摘み取ってしまいましょう。
シングルタスクを行う工夫3つ
では、実際にシングルタスクを行うにはどうしたらいいのでしょうか?本書でご紹介している方法は決して難しくありません。
休憩を定期的に取る
メモをとっておこう!<休憩を定期的にとるほうが、かえって成果をあげられる>と。しっかりと休憩し、自分を「オフ」にする時間があるからこそ、「オン」のときに集中できるのだ。
『シングルタスク』98ページ
集中するには体力も気力も必要です。それを支えるのが適切な休憩です。一つのタスクを選択し、集中することで成果も見えやすくなります。
適切な休憩は心身ともに大事なことです。
休憩を忘れてしまう方は、アラームをかけたり、時間術を活用して適切に休憩をとりましょう。
集中力持続のため、そして肩こりや腰痛などのある方は身体のためにもまずは1時間に1回程度立つことからはじめましょう。
毎朝、仕事の予定を立てよう
たとえば、毎朝、仕事を始める前にほんの3~5分でかまわないから、今日しなければならない仕事の予定を立てよう。そうすれば、仕事に追われて1日を受け身ですごすのではなく、先を見越して行動を起こし、積極的に1日の仕事を進められるようになる。
『シングルタスク』105~106ページ
仕事の予定を立てることは、やれば効果的だとみんな知っているけど「時間がない」という理由でなかなか行われていないことの一つではないでしょうか?
一つの解決方法として通勤時間を使うこともおすすめですし、朝の苦手な方は前日の仕事終わりに翌日の予定を作るのもおすすめです。
タスク管理パートナーのサービスでも、1日の予定を立てることは、ほとんどのお客さまが朝に行っていることです。
多忙で安心を得ようとしない
あくせく働いているのに、それに見あうだけの具体的な成果をあげられない人は多い。そもそも、一定の時間内でそれほど多くの作業をこなせるはずがないのに、ついあれこれ手をだしてしまっているのだ。(中略)
そして奇妙にも人は自分を疲弊させ、すり減らすことで「自分は重要な人間だ」という認識をもとうとしている。
『シングルタスク』157ページ
なかなか厳しい指摘ですね・・・。
忙しさではなく、あなた自身が重要な存在であることを、あなたが認識することが大事ですが、そのような不安を抱える原因を突き止めて、解決できるかどうかを調べることもおすすめします。
過去の職場でこのような方がいましたが、やはり不安が大きかったようです。
オフの時間もシングルタスクで過ごす
仕事の時間も大事ですが、同じくプライベートの時間も大事です。
仕事では集中できるからシングルタスクを行ってみようと思えたとしても、プライベートにまで必要なのでしょうか?
今という瞬間を味わう
つねにあわただしくすごしていると、感動したりよろこんだりする能力が失われてしまう。
『シングルタスク』194ページ
感情を味わう時間ももったいないということになっていないでしょうか?慌ただしく過ごしている原因が、あなたが望んでいる時間の過ごし方でなければ、本当はやらなくてもいい行動をなくして、感動する時間を確保するのもおすすめです。
忙しさを優先していると大事なものやことが置き去りになることもありそうです。
日常のほとんどは習慣化しているため、まずは意識することが重要になります。過去のあれこれや、未来の心配が多いなと思われた方は下記のブログも参考にしてみてください。
大切なことを明確化する
食事でも、人との会話でも、ついつい何かしながら、あるいは上の空になっていることはないでしょうか?それはひいては、相手の信頼を損なったり、大事な時間を自分でなくしてしまっていることになります。
どうしても仕事が優先になりがちですが、プライベートの時間も同じくあなたの大事な時間です。
オフにもシングルタスクを徹底することでより充実した時間が過ごすことができ、プライベートの時間を大事にすることで人生はより豊かになります。
多くの人の仕事には定年があります。私たちの老後は長くなりました。仕事だけではなく、人生の大切なことを考えることは、長く人生を楽しむ秘訣かもしれません。こちらのブログには、老後の時間をよりよく生きるヒントを書いています。
一つに専心することで「幸福度」が高まる
科学者たちの説明によれば、人は何かに専心しているときのほうが充足感を覚える。シングルタスクにより能率が上がることは本書でさんざん述べてきたが、それだけでではなく、シングルタスクを実践していると、人はより深い幸福を感じられるのだ。
『シングルタスク』192ページ
あれもこれもと取り組んでいても、全てを覚えている人はなかなかいないでしょう。例えばパッケージツアーで1週間で5か国周遊というようなプランを見てお得感を感じたことがある方もいると思いますが、実際に参加した人は、結局ほとんど覚えていないという話を聞いたことがあります。逆に1週間一都市での滞在で満足して帰国したという話も聞きます。
1つを選択するという大変さもありますが、達成した、十分に満足したという充実感もあるのでしょう。
充足感、満足感、達成感は幸せな気持ちにつながります。その気持ちは日々を充実させ・・・と良いサイクルになりますので、ぜひあなたもあなたの周囲の人も毎日幸せな気持ちを感じて欲しいと思っています。
こちらのブログには、幸せになるヒントが書いています。熱中できる活動を増やすことや、人生の喜びを深く味わうというシングルタスクにもつながることを書いています。
シングルタスクなんて絶対に無理だと思っていましたが、とりあえず試してみようと思います。僕ももっと充実感を感じる1日を増やしたいです。
ぼくは、プライベートの時間からはじめてみようかな。
サトウさん、いいですね。お仕事でもプライベートでも試してみやすいところから試してみてください。
ずっと言ってもらっていたのに何もせずにいて・・・
大丈夫です。人にはみんなタイミングがあります。やってみようと思ってもらえるまでそっと伝えて、やろうという気持ちになってもらった時には、しっかり背中を押します。
今の気持ちや考えとは違うけど試してみたいなと思われた時は、ベーシックサポートプランでしっかりとサポートします。
ちなみに、周囲の人がシングルタスクで集中している時は、話したりするのは待つのが良いですね。みんなで協力できると素敵です。