『影響力の武器』[第三版]ロバート・B・チャルディーニ著/誠信書房

こちらの本からコミットメントと一貫性の影響力をあなたのやりたいことに活用するヒントをご紹介します。

この本はぼくも読んだことがあります。いろんなステレオタイプ(多くの人に浸透している固定観念や思い込み)思考の日常への影響や、それらへの対処方法を教えてくれています。

本書では6つのステレオタイプが紹介されていますが、このブログでは「コミットメントと一貫性」を、あなたのやりたいことに活用することを中心にご紹介します。

コミットメントと一貫性の影響力についての説明まで少し長いので、この部分だけ読みたい方は、目次3の「コミットメントと一貫性とは何か」をクリックしてください。

私たちは思考の近道を活用している

私たちの思考のクセと本書を簡単にご紹介します。

実際、人間の行動の多くは自動的で紋切り型です。多くの場合で、それが最も効率的な行動形態であり、また、場合によっては、単にそうする必要があるからです。私たちは、とてつもなく複雑な環境に住んでいます。(中略)これに対処するためには、思考の近道を用いることが必要なのです。

『影響力の武器』12ページ

文明が進歩し、私たちは自分の頭で考えなくても様々なことができてしまうようになりました。普段当たり前に使っているパソコンやスマホも一人で作ることも、ネットの環境を整えることもできません。多くの人が関わって、今当たり前に使うことができています。

そんなパソコンやスマホの機能すべてを使えている人もすべての機能を分析したり特徴を調べることも不可能でしょう。説明書ですら時間がなく読むこともないのです。

スマホの説明書もすごく薄くなってきましたが、読まない方がほとんどですよね。

全てのことにおいてこういうことが起こっていて、現代の洪水のような情報や出来事が複雑さと多様さを増しているので、私たちはステレオタイプや経験則を使うことになります。

このような「てっとり早い」反応の利点は、その効率性と経済性にある。役に立つことが多い信号刺激に自動的に反応することによって、人は、貴重な時間やエネルギー、精神能力を節約できる。

『影響力の武器』28ページ

「高価なもの=良質な物」「専門家の言うなら正しい」といったルールや権威などですよね。

その通りです。これらのステレオタイプや心理学的原理の存在に私たちは当たり前すぎて気が付いていません。

多くの人々が知らないこういった影響力を、一部の人たちは巧妙に使って自分の欲しい物を得たり、相手を丸め込んだりしているという話ですね!

この反応の欠点は、愚かで高くつく間違いを犯しやすくなることにある。

『影響力の武器』28ページ

このおかげで多くの場面で単純な思考で物事に対処できるようになるのですが時にはそのせいで過ちを犯す危険もあります。

このブログではこれらをあなたのやりたいことに応用することを考えてみます。

武器と防衛法の紹介

本書では上記のような影響力を「武器」として紹介しています。ここではどんな武器があるか、また、それらの武器を使ってあなたに近づいてくる良からぬ考えを持っている人への防衛法もご紹介します。

返報性の武器

社会学者や人類学者によると、人間文化のなかで、最も広範囲に存在し、最も基本的な要素となっている規範の一つに返報性のルールがある。このルールは、他者から与えられたら自分も同じようなやり方で相手に返すように努めることを要求する。(中略)このルールに将来への義務感が含まれることによって、社会にとって有益なさまざまな持続的人間関係や交流、交換が発達することになる。

『影響力の武器』91ページ

返報性のルールの特徴として以下の3つがあります。

  • 社会的に非常に強い力を持っているということ
  • 望みもしない行為を最初に相手から受けた場合にも適用されること
  • 不公平な交換を助長する場合があること

後が面倒そうだから、「無料」というのは全部断っています。

サトウさん、その方法もいいのですが、対処法として、最初の申し出を拒否しまうことではなく、親切や情報は誠意を持って受け入れて、計略だと分かった時点で再定義できるようにしておくこともおすすめです。 

コミットメントと一貫性

こちらについては後述します。この武器を活用してやりたいことを進めていきましょう。

社会的証明

社会的証明の原理によると、人がある状況で何を信じるべきか、どのように振る舞うべきかを決めるときに重視するのが、ほかの人々がそこで何を信じているか、どのように行動をしているかである。他人を模倣しようとする強い作用は、子どもにも大人にも見られ、また、購買における意思決定、寄付行為、恐怖心の低減など、さまざまな行動領域で認められる。

『影響力の武器』263ページ

流行っているから自分も買いたいという購買への意思決定から、非常ベルが鳴っても誰も立つことも逃げることもしないから大丈夫と思う心理まで、いろんな場所や状況で社会的証明が見受けられます。

確かに、確信を持てない時やはじめての状況や曖昧な時は、他の人がどうしているかは確認してしまいます。ぼくと同じような人の行動は特に見てしまうかも。

誤った社会的証明に影響されないためには、間違った出来事に対して敏感であることと、自分の行動を決定する際に自分と似た人の行動だけを見て決定しないことです。

好意

人は自分が好意を感じている知人に対してイエスと言う傾向がある。

『影響力の武器』324ページ

身体的な魅力、自分と似た部分を持つ人、お馴染みや常連になるのも好意が増してイエスと言いやすくなります。

身体的魅力は清潔を心がけて、好きな人と共通の趣味や話題を見つけ、何度も会うようにしていけばいいんだと思って実践したので、よく覚えています。

サトウさん、いいですね!
あまり考えずにイエスと言わないようにするためには、相手に対して過度の好意を持っていないかということを確認することです。
サトウさんの実践の結果が上手くいっていますように!

権威

権威者から命令されると、正常で心理的に健康な多くの人たちが、自分の意に反していても逆らおうとすることなく、極度に危険なレベルの痛みを他者に与えた。

『影響力の武器』371ページ

確か、思考が伴わず、自動的に反応する場合もあって、権威そのものでなく、権威のシンボルに反応してしまう傾向もあるとか。似非科学やディストピア小説を思い出しました。

自分自身を守るために使える質問が二つあります。
「この権威者は本当に専門家だろうか」「この専門家はどの程度誠実なのだろうか」です。ぜひ盲目的に信じそうになった時に活用しましょう。

希少性

希少性の原理によれば、人は、機会を失いかけると、その機会をより価値あるものとみなす。この原理を利益のために利用する技術として、「数量限定」や「最終期限」といった承諾誘導の戦術があげられる。

『影響力の武器』425ページ

手に入りにくければ、入りにくいほど貴重な物や情報であると思い、もう手に入らないと思うと、買えないという不自由さや、非常に有益な情報だったのかと思ってしまうという傾向にあります。

もともと、人間は希少性に対して理性で対抗するのは難しいと書いていました。
ぼくもよく衝動買いをしていたから、この部分もよくおぼえています。

対策としては、頭に血が上ってしまわないように注意すること、興奮を鎮めて、利点と欠点を評価することです。
個人的にいつも考えていることですが、物ともご縁があって、実際に品切れになった時にはご縁がなかったと思うと案外すぐに諦められます。

どのような状況下においても冷静かつ思慮深く、検討を重ねたうえで意思決定したいと私たちは望んでいますが、それを行うにはあまりにも時間もなく、決定することも多すぎるのが現代です。

そんな中で、まずはこんな心理的影響力があることを知ることで、適切な判断ができたり、後悔しない決定を下せるといいなと思っています。

ここからは、コミットメントと一貫性をやることに活用する方法についてご紹介します。

コミットメントと一貫性とは何か

ひとたび決定を下したり、ある立場を取る(コミットする)と、自分の内からも外からも、そのコミットメントと一貫した行動をとるように圧力がかかります。

『影響力の武器』97ページ

私たちには、自分がすでにしてしまったこと、決定してしまったこと、言葉、信念、考え方と一貫していたい、そして他者からも一貫しているとみて欲しいという欲求があります。

コミットメントによって私たちは自分の決断を一貫したものにしながら行動するようになります。

一貫性と言うのもかなり強い力をもっていそうですね。

この一貫性の強い力をやりたいことに活用していくことを提案します。

なぜ一貫性を保ちたいのか

私たちが一貫性を保ちたいという気持ちを強く持つ理由をご紹介します。

なぜ人が、これほど一貫性を保とうとするのか。それを理解するには、日常生活の大部分において、一貫していることは望ましくもあり、適応的でもあるという事実を認識する必要があります。一貫していないというのは、通常望ましくない性格特性であるとみなされます。言うことと実際の行動が一致していない場合、その人は支離滅裂、裏表のある、果ては頭がおかしいのではないかと思われてしまうのです。一方、言行一致している人は、人格的にも知的にも優れていると考えられるのが普通です。一貫性こそ、論理性、合理性、安定性、そして誠実さの核心をなすものです。

『影響力の武器』100ページ

第一に一貫性を保つことによって社会から高い評価を受けることがあげられます。社会生活を送っていて、他人の目を気にしない人などいません。他者からの評価は仕事はもちろん、プライベートにも大きく影響します。

人の本当の感情や信念は、言葉よりも行動に現れます。他者を判断するし、自分も判断します。自分自身に約束することと、他者からの評価を高めることにもつながります。

一貫性を保ちたいという気持ちがあるのが当たり前と言っても過言ではないでしょう。

ぼくは人の評価が気になりすぎる時もあります。

ほとんどの人がそう思いながら日々を暮らしていますよね。

一貫性を保つことの便利さ

一貫した態度で物事に対処すれば、大体においてうまくやっていけます。逆に一貫性をもたなければ、私たちの生活は困難で、不安定で支離滅裂になってしまうでしょう。

『影響力の武器』101ページ

社会生活を送るうえで、一貫しているということは他人に対してうまくいくということにもなりますし、自分に対してもうまくいくことになります。毎日違う態度や考えでいることは想像できないほど実は大変なことだと思います。

よく考えると、毎日違う行動、違う考えを持つということが困難だと思いますが、それくらい私たちの生活はほぼ一貫しているのですね。

第一に、ほかの多くの自動反応と同じように、それは複雑な現代社会を営む上で「思考の近道」を私たちに提供してくれます。ある問題に対して自分の立場をはっきりさせ、強い一貫性をもつと、私たちはとても贅沢な生活が可能になります。つまり、それ以上、その問題について真剣に考える必要がなくなるのです。

『影響力の武器』101ページ

脳はできるだけ考えずにエネルギーを蓄えようとします。悩んでいる時は大変だけど、決定してしまったらすっきりしたという経験はないでしょうか?

それぐらい、悩む、考えるという状況は大変でつらく、決断した後は楽になります。なので、自分の立場を決める事、一貫性を保つことはエネルギーの節約にもなります。

何かの組織に属して、自分の立場を決めると、一部の考えることも判断することも組織に委ねることができます。

自分の決定に満足したい、信じたい

一貫性による思考の近道を行った時でも、私たちはいつも自分の決定に満足したいし、信じたいという気持ちがあります。

「昔はこういうやり方だった」と信じたい方は、時代が変わってやり方や考え方が変わっただけなのですが、自分の昔の決定は正しかったと信じたいあまりに、昔のやり方を行って不利益を被ることや、自分をだますこともあります。一貫性が時には正しさよりも重視される一例です。

そして自分が正しい選択をしたと自分に言い聞かせるだけで、本当に、自分の決定に対する満足度が上がるのです 。(中略)実際、私たちは皆、自分のこれまでの行為や決定と一貫した思考や信念を持ち続けたいと思うあまり、ときには自分をだますことさえあります 。

『影響力の武器』97~98ページ

自分が下した重要な決断の正しさを何が何でも信じようとする、ひけないときってあるんですよね。

一貫性発動の仕方

これだけ強力な力を持つ一貫性ですが、どういう時により強く発揮されるのでしょうか?

この強力な、一貫性が生み出されるきっかけがコミットメントになります。

たとえば、私があなたにコミットメントをさせる(立場を明確にさせたり、公言させたりする)ことができたとしたら、あなたの自動的な一貫性を、そのコミットメントと一致させるお膳立てがととのったことになります。一度、自分の立場を明確にすると、行動をその立場と一貫させようとする強い力が自然と生じます。 

『影響力の武器』112ページ

承諾を引き出す上で鍵となるのは最初のコミットメントを確保することです。コミットメント、つまり自分の意見を言ったり立場を明確にしたりすることをしてしまうと、人はそのコミットメントに合致した要求を受け入れやすくなります。

あ、そういえばこの間「英会話に興味がありますか?」と聞かれて「はい、いつか英語を話したいと思っています」と答えたら英会話スクールの勧誘で一瞬断りづらかったです。

いつか英語を話したい(=学ぶ意思がある)とサトウさんの意見を明確にしたことで断りづらい気持ちを持ったのですね。

外部からの強い圧力なしに選択を行ったと考えるときに、その行為や言動の責任が自分にあると認めるようになり、一貫性が発動されます。

コミットメントを効果的に利用する

コミットメントと一貫性の力を、あなたのやりたいことに活用していきましょう。

ここまで、ちょっと長かったですね・・・

すみません。面白い本なのでいろいろ伝えたくて。

コミットメントが効果的に影響を及ぼすためには、いくつかの条件がそろっていなければなりません。行動を含むこと、公表されること、努力を要すること、自分の意志で選ぶこと、です。 

『影響力の武器』124ページ
  • 行動を含むこと
  • 公表されること
  • 努力を要すること
  • 自分の意思で選ぶこと

この4つが効果的に影響を及ぼすということです。一人でコミットメントを行う時の順番はだいたい以下になるでしょう。

  1. 自分の意思で選ぶ
  2. 公表する
  3. 行動する
  4. 努力を要する(継続など)

あなたのやりたいことにコミットメントし、一貫性の力を存分に活用しましょう。

コミットメントを効果的に、あなた自身に活用していきましょう。

自分の意思で選ぶ

まずは自分のやりたいことを宣言します。もちろん、あなたの意思で選んだあなたのやりたいことです。

時間と労力も使う上に、公表することであなたの今まで培ってきた誠実さにも影響しますので、ぜひ自分のやりたいことを選びましょう。

流行りだから、皆がやっているから、誰かにやれと言われたから、ではなくあなたがやりたいことを選ぶことが大事です。その結果が流行りのものでも、皆がやっていることでも、誰かに言われたことでも大丈夫。もともとやってみたいことがあった方はそれを、考えたことがなかったことは少し時間を取ることできっと見つかります。

なかなか見つからない方は、誰かのやりたいことリストを参考にしましょう。ネット上にいろんな人が公開しています。

一貫性のある人物であると宣言する

宣言は、身近な人、家族や友人など実際の知り合いでも、SNSで多くの人に宣言するのもいいでしょう。さらに同じような目標を持ったコミュニティ、例えば同じ試験を受験する人達への宣言もおすすめです。

一番最初は勇気が必要かもしれませんが、その時は絶対に達成可能なことから宣言するのもおすすめです。
この勇気がこの後に取りかかる行動の後押しもしてくれます。

他人に見えるような形で自分の言葉を明確にすると、一貫した人間にみられたいばかりにその立場を維持しようとする強い気持ちが生じます。

最初はやる気もあるので行動を起こしやすいでしょう。

問題は数日たって、最初のやる気が低くなってきてからです。ここから自己イメージ(自分は宣言したことは守る人間だ/言ったことはできるなど)との一貫性を保ちたい気持ちを強く働かせていきましょう。

以前にSNSを活用して宣言していましたが、投稿したことは「書いちゃった」という気持ちも手伝って必ず達成できていました。

今日はさぼろうかなという気持ちが出てきたら、「いやいや、毎日やるって宣言した」。今日ぐらいいいかなという気持ちが出てきたら「いろんな人に約束も守れないと思われたい?」などと自分を適度に追い込んでいきましょう。誰かに頼んだり、相互に監視しあう方法も有効です。

コミットメントをすることで、時には心の中の変化を引き起こします。もう少し頑張ろうかなという気持ち、やっぱりやろうという気持ちがもっとも大きいでしょう。それらをやってみると、ほぼ100%やって良かったと思えます。それらの行動の変化は考え方の変化につながり、その変化は関連する他の状況にも及び、変化の影響が持続します。

宣言すると、逆に効果を感じにくい方、できなくなる方は、自分自身との強いコミットメントを行いましょう。こんな方法もおすすめです。

小さなコミットメントを大切にする

最初の小さなコミットメントが、大きな行動を引き起こす引き金にもなります。

たとえば慈善団体は、段階的にコミットメントを強めていくことで、より大きな要求を飲ませる方法をよく用います。(中略)販売員の場合ですと、この戦略は大きな買い物をさせるのに、まず小さなものを売るところから始めるという形を取ります。(中略)それを売る目的は、儲けを出すことではなく、コミットメントをさせることにあるからです。(中略)

最初に小さな要求を飲ませ、それから関連するもっと大きな要求を通すというやり方には、「段階的要請法」という名前がついています 。

『影響力の武器』118~119ページ

段階的要請法も同じく活用できます。最初は小さな行動を起こし、徐々に難しいこと、ずっとやりたかったけどできていなかったことに段階的にチャレンジしていきます。

コミットメントに労力が投入されればそれだけ影響が強くなるので、自分がやりたいことにはしっかりと労力を費やしてみましょう。努力を要した分だけ一貫性の力も強まります。

逆に言うと、労力を費やすほど、その行動は簡単になったりやりやすくなるので効果が期待できるともいいます。

あれもこれもというより、ある程度やりたいことや行動はしぼった方が効果が感じられそうですね。

サトウさん、仰る通りです。選択と集中することで多くのリソース、特に時間を集中して活用できます。

でも、買い物はちょっと怖くなりますね。

不要な物を購入しようとしたり、一貫性をムダに貫こうとしていると気が付いた時は、ここで一貫性の力を使わずに、自分のコミットメントしたことに使おうと思ってください。

継続する

継続ができることも、好ましい性質だと通常思われます。

やりたいことを決めて、公表して実行するという方法を1度だけでなく何度も繰り返してぜひあなたのやりたいことを達成していきましょう。そのためには、継続という努力は必要になります。

今までなかなか継続が難しかった方も、コミットメントと一貫性の力を活用してみましょう。継続することでできることも増えていきます。

コミットメントもあなたの目標達成の力にならなかった場合は、タスク管理パートナーのサポートもお試しください。毎日のコミットメントによりあなたの目標達成を応援します。

あなたの普段の心や感情のクセを上手にやりたいことに活用していきましょう。