『幸福優位7つの法則』仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論 ショーン・エイカー著/徳間書店
2011年出版の少し古い本ですが、ポジティブ心理学をタスク管理にどう活用するかを考えてみたいと思います。
幸福優位ってどういう意味なんでしょう?
優位は「他よりまさること」なので、幸福が何よりもまさっている、1番大事だということになると思います。
今回はこの本より、幸福について学んでいきましょう。
こちらのブログもポジティブ心理学について書いたものです。参考にしてください。
目次
ポジティブ心理学は、よい生き方を目指している学問
この本はポジティブ心理学をベースに幸福と成功の関係について述べられた本です。では、ポジティブ心理学とはなんでしょうか?
ポジティブ心理学とは個人や社会を繁栄させるような強みや長所を研究する心理学の一分野である。精神疾患を治すことよりも、通常の人生をより充実したものにするための研究がなされている。
Wikipedia (参照:2022年7月12日)
混同しそうになりますが、ポジティブシンキングとは違います。ちなみにポジティブシンキングについてはこちら。
積極思考は、なんでも前向きに物事を考えればそれは実現し、人生はうまくいく、という考え方、物事の良い面を見ようと努め、ポジティブな姿勢を保ち、「思考そのもの」を変えることで現実を変えることを目指す思考法である。
Wikipedia (参照:2022年7月12日)
違いは、研究によって証明されているか、いないか、学問かそうではないかというのような他にもいろいろとありそうですが、「ポジティブ心理学」と聞いて最初に思い浮かぶのはポジティブシンキングという印象があります。
本書は、ポジティブシンキングとは違い、研究者たちが、世界中の合計27万5千人を対象にした200以上の幸せに関するすべての入手可能な科学的研究を集めて分析した結果と適合したものです。
研究結果によって証明されている幸せの法則について学んでいきます。
成功すれば幸せなのか?
成功したら、幸せなんじゃないですか?
成功(目標の達成)が幸せなら、既にみんな幸せになっていないといけないのに、現実は、次の目標(成功)のためにさらに努力をしなければいけないという現実があります。
しかし実際には、勝利を勝ち取るたびに、成功のゴールポストはさらに前方へと押しやられていく。そうして、幸せは、地平の彼方にどんどん遠ざかっていくのである。
『幸福優位7つの法則』5ページ
確かに・・・そういう側面もありますよね。成功した時の幸せな気持ちはあっても長続きしないというか、その状況に慣れてしまって幸せを感じられなくなるのでしょうか。
成功や目標達成で得られる幸福感は確実にあります。失敗や目標を達成できないことよりもはるかに幸せです。
それでも、サトウさんの仰るように、ずっと続くことではなく、次から次に目標はでてきます。
目標がたくさんあるということは、幸福になる機会もたくさんあるということでもあるので、それはそれで楽しそうですよ!
サトウさん、ポジティブな考え、いいですね。
ただ、目標に向かうまでに辛かったり、折角目標を達成しても、また次があるのかと幸福感を味わえないことを考えると、〇〇したら幸せという式は見直した方がよさそうです。
ポジティブ心理学と脳科学の10年以上にわたる画期的な研究によって、成功と幸せの関係は、普通に考えられている矢印とは逆だということが、明確に証明された。
すなわち、幸せは「成功に先行する」のであり、単なる「成功の結果」ではない。
幸福感や楽観主義は、実際に業績を高め優れた成果をもたらす。
『幸福優位7つの法則』5、6ページ
幸せだから、成功するという本書の考えを基に、まずはポジティブでいることの良い点を確認してみましょう。
ポジティブでいると良いこと2つ
よく働くことができる
人間の脳は、普通の気分のときでもネガティブな気分のときでもなく、ポジティブな気分のときに最もよく働くようにできている、ということが証明されている
『幸福優位7つの法則』23ページ
こちらのブログにも書いていますが、幸せな人は生産性が高いという研究もあります。気分よく過ごすことで、成果も上がりやすくなるようです。
学習機能が活性化され、視野が広がる
ポジティブ感情によって、脳がドーパミンやセロトニンといった化学物質で満たされると、それらは単に気分を良くするだけでなく、脳の学習機能をつかさどる部分の活性を高める、すると新しい情報が整理されやすくなり、記憶が長く保たれ、あとでそれを素早く取り出せるようになる。また神経細胞の連絡が密になり、そのために素早くクリエイティブに考えられるようになる。
『幸福優位7つの法則』63ページ
好きこそものの上手なれ的なことや、好奇心を持って取り組むことの良さでしょうか?
好きなことや面白いと思うことをしている時は楽しく、自分が思っている以上に集中してよく見たり、考えたり、時間もかけて行っているという事実もあるように思います。
幸せを感じられる方法5つ
そんな良いことが多い、幸せを感じながら生活するにはどうしたらいいのでしょうか?
日々生活していくうえで、楽しいことばかりではありませんが、できることに取り組んで少しでも幸せに感じる時間が増えるといいなと思っています。
小さなことの積み重ねが、たくさんの幸せにつながると思って、取り組んでみます!
意識して、人に親切にする
利他的な行為(友人にでも見知らぬ相手にでも)をすると、ストレスが軽減され、精神の健康度が高まるということが、2000人以上を対象とした大掛かりな研究を含め、たくさんの実証的研究によって確認されている。
『幸福優位7つの法則』75ページ
これ、他の本でも読んだことあるし、聞いたこともあるなあ。他人に親切にするのはいいことですよね。
無理のない範囲で楽しく他人の役に立てると嬉しいですよね。無理をしてまで誰かに親切にすると本末転倒になるので気を付けたいところです。
物事のとらえ方を変えてみる
物事のとらえ方や、心の持ちようが物事の感じ方を変えるだけでなく、その経験の客観的な結果さえも変えてしまうことが科学的に示されています。例えば、プラセボ効果などはその良い例です。
日々の行動を自分の心がどうとらえるかで、現実も変わってくるということなんでしょうが、実際にとらえ方を変えるって難しいですよね。
言うのは簡単ですが、実践は難しいですね。
私がやっていることの一つは、私2号を脳の中に作りだし、自分が考えたことと真逆の考えや見方をしてみるということをしてみます。何度も繰り返していると、別の見方も見えてきて、いくつかの選択肢を持ちやすくなります。
脳を訓練して、ポジティブな面を探してみる
ネガティブな人たちは自分から進んで気難しくしたり不平不満を言おうと思っているわけではないのです。
いつもネガティブでいると、長年の訓練によってネガティブな要素を見つけることに熟練し、その能力が鍛えられているのです。なので、どこを見ても気に障ることやストレスや困った問題にたちまち気づくようになった結果、不平不満につながります。
テレビゲームをマスターするには、何日も集中して練習する必要があるのと同じように、もっとチャンスに気づくように脳を鍛えるには、ポジティブなことに注目する反復練習が必要である。それを始める一番の方法は、仕事や生活の中に起きたいいことを毎日リストアップすることである。
『幸福優位7つの法則』144ページ
ポジティブになりたいと思ったら、ポジティブになる練習を繰り返すといいということですね。
誰でも聞いたことのある、「今日起こった良い事3つを書き出す」ことを本書でも推奨しています。良いことを書こうとするときに、良いことを思い出すというのがすごく大事なことです。
ネガティブな要素に気が付けるというのも物事の大事な一面ではあるので、その能力を、仕事や生活の改善に活用するのも良いことだと思います。
コントロールできている感覚を得る
「コントロール感覚」、つまり仕事においても家庭においても、自分が自身の運命の主人であるという感覚は、幸せと成功をもたらす最も大きな推進力となる。
『幸福優位7つの法則』184ページ
こちらのブログでも紹介していますが、コントロールできている感覚は幸せや満足につながります。
本書で紹介しているコントロール感覚を取り戻す方法が面白かったので紹介します。
円を描いて、徐々に大きくしていく方法
- 自分の気持ちを認識して言葉で表現する。日記に書いたり、誰かに話す
- 状況を見渡して、自分がコントロールできる部分とできない部分に分ける
- コントロールできることにエネルギーを集中する
- 3の中からすぐに達成できそうな小さなゴールを特定し、実行する
- 4の円を少しずつ大きくしていく
小さなことからスタートする、できることに集中するなど、よく見ることですが、円というのがイメージしやすいですね。
片付けなどは分かりやすく、自分で円を描いて、その中をキレイにするというとイメージが湧きやすいかなと思います。
何にしても、最初の円を描くことが大事な事です。
前もってルールを決めて、行動を変える
休日に、話題の本を読んだり、勉強しようと思っていたのに、気が付いたらだらだらとテレビを観ていたということはありませんか?
そうそう、やっちゃった~と思うんですよね。おまけにそう楽しくなかったり、罪悪感とか自己否定とかしていい事ないって分かっていても、ついついというのがあります。
テレビを見るような受け身のレジャーは、運動をしたり、絵を描いたりなどの能動的なレジャーより手軽で簡単だけど、同じだけの満足感を得られないどころか、調査によると、受け身のレジャーが楽しいのは最初の30分程度で後はエネルギーを吸い取られるので無力感などを感じます。
受け身のレジャーって過ぎると、エネルギーを奪い取るんですね。
能動的レジャーは2倍も3倍も受け身のレジャーより楽しいのに、多くの人が受け身のレジャーに時間をかけています。それは、手軽で習慣になっているからで、もっとも抵抗の少ない道を何度でも選んでしまうのが人間です。
あるあるですが、無力感を味わう時間を少なくするために、よりよい習慣を選択する時のおすすめの一つがルールを作ることです。
この3つがおすすめのルールですね。
計画を立てる
計画を前もってしっかりと立てることで、脳内で状況を想像してみると行動にも移しやすくなります。
くれぐれも張り切り過ぎて、頑張り過ぎた計画ではなく、余裕を持った計画を立てましょう。
if then プランニングを活用する
if thenプランニングとは、【if】Xしたら【then】Yする」と決めておき、やることを進めるための手法の一つです。
やりたいことはやりやすく、やりたくないことは面倒にする
勉強しようと思ったら、テキストを出しっぱなしにしておき、ページを開いたままで、すぐに勉強開始できるようにしておくようなことですね。
その通りです。逆にやめたいことは、やるのに手間がかかるようにします。例えば、テレビのリモコンの電池を抜いておく、お菓子は手の届かない高い場所にしまう、などです。
ルールを決めるという時間を作ることで、たくさんの時間があなたのやりたいことに使えます。
あなたに合うルールを見つけて、行動を変化させるきっかけを見つけていきましょう。
タスク管理と幸せの関係
私たちは、成功してはじめて幸せが訪れると思い込んでいたりもします。そしていつも目標を追いかけ、そのためにタスク管理をして頑張って目標を達成しても、休む間もなく、次の目標に・・・。何のための目標なのか、タスク管理なのか。
頑張り過ぎてしまうと、こういったことを思うこともあるかもしれません。
幸せというのは主観的なものなのですが、タスク管理パートナーが考えるタスク管理と幸せの関係はこうです。
〇〇をしたら幸せになれるというのが、ポジティブ心理学で順番が違うと言っていますが、同じく幸せになれそうだから〇〇をするというのも違うと思っています。目標を設定してタスク管理をするのは、幸せになるからするのでなく、幸せになるために目標を設定してタスク管理をするわけでもありません。
幸せというのは常に自分と一緒にあって(青い鳥のようなイメージです)、成功や目標とは別のものです。
ただ、目標を設定し、タスク管理をして物事を進めていくと、目標が達成できたり、スムーズに物事が進んだりします。そうすると嬉しい気持ちや楽しい気持ちが増えることと、面倒なことやイライラが減ったり、時間が管理できたりということがあるので、より幸せな気持ちを感じやすくなると考えています。
タスク管理をしても幸せになるわけでも、幸せになりそうだからとタスク管理をするのも違うと考えていますが、幸せな気持ちをしっかりとサポートするツールの一つにはなりえるものだと考えています。
幸福は、探すものでも、与えられるものでもなく、作り出すものですが、作り出すのに便利なツールの一つとしておすすめしたいです。
今までの考えや習慣を変えることを難しくするのも、簡単にするのもあなた次第です。変わろうと思えば、いつでも変わるための一歩は踏み出せます。
最後に著者の言葉を紹介します。
もう変わらなくていいと信じることが幸せなのではない。自分は変われると思うことが幸せなのである。
『幸福優位7つの法則』37ページ
頑張ってみてもどうもうまくいかないなと感じた時は、タスク管理パートナーがお手伝いします。
ベーシックサポートプランでじっくりとタスク管理に取り組みつつ、幸せを感じる練習をしていきましょう。