このブログでは、古代ギリシャ哲学者エピクテトスが語ったことから、特に習慣化に関して役立つことと、習慣が難しくなる、先延ばしを防いだり、欲望に負けない方法をまとめて、お伝えします。
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『人生談義 上』エピクテトス著/岩波文庫
『人生談義 下』エピクテトス著/岩波文庫
今回はこちらの本から習慣化と、ついつい流されてしまう気持ち、欲望に負けてしまう気持ちにどう対処すればいいのかを教わります。
古代ギリシャの哲学者から学ぶ…
ちょっと昔過ぎて、今のぼくたちの参考になるのでしょうか?
そう思いたいのですが・・・、人間って昔からそんなに変わらないようなので、古典を読んでも共感できたり、納得できることが多いのです。
このブログを読んで興味を持ってくださったならぜひ本も手に取ってみてください。
目次
古代ギリシャ哲学者 エピクテトスはどんな人?
簡単に著者について紹介します。
著者は紀元前1世紀頃のローマ帝政時代を生きた哲学者です。エピクテトスは奴隷の身分として生まれたため、記録がほぼありません。
弟子のアリアノスがエピクテトスの言葉を書き留めておいたものが残っていて、こうやって私たちも読めるのです。
ご紹介する文章によく出てくる「心象(表象と訳されることも)」という言葉は、人の心に現れてくるすべてのことを言いますが、詳しい言葉の説明はこちらです。
人は欲望などのさまざまな要因によって、理性的な判断ができなくなることがあるが、その要因となるものがその人の前に現れて、その心(魂)を魅惑するからである。実を言えば、その人を魅惑しているのは向こうにある対象そのものではなく、その対象が与えている心象である。お金で言えば、お金を欲しいと思っている人間の心を惑わすのは、お金そのものではなく、お金に対してわれわれがもつ心象である。
『人生談義 下』476ページ
では、まずは、習慣化について教えてもらいましょう。
習慣化する方法は、習慣化したいことを繰り返すこと
古代ギリシャにおいて、すでに習慣について語られていたことにも驚きます。
あらゆる習慣や能力は、それに対応する行為によって維持され、増進される。すなわち、歩く習慣や能力は歩くことによって、走る習慣や能力は走ることによって維持され、増進されるのである。
『人生談義 上』288ページ
習慣にしたいこと、伸ばしたいことを行動することでその習慣や能力を伸ばすことができるということです。
文章でみると当たり前のことですが、その当たり前が難しいですよね。
朗読家になりたければ、朗読することだ。書き手になりたければ、書くことだ。三〇日間読まずに、ほかのことをすれば、その結果は分かるだろう。
『人生談義 上』288ページ
「一般的に言って、なにかをやろうと思えば、習慣的にすることである」とも言っています。
このサイトの他のブログにも書いてあることなのでその一つをご紹介します。
習慣化ですよね、まあ、その通りなんですよね。それは分かっているんだけど…というところです。
行動だけではなく、感情も習慣で作られている
行動だけではなく、感情にも同じことが言えます。
エピクテトスは「魂に関わること」と表現している、改善したい心の在り方ー怒り、嫉妬、怠ける気持ちなどがこれに当たりますーを例にあげて、感情もまた習慣によって形成されると説明しています。
怒りを感じるときは、それが君にだけ悪いこととして起きているわけではなく、むしろその習慣を増進させて、火に薪を投げ込んだようなものだということを知るべきである。君が人との情欲に打ち負かされるときには、それを一度の敗北と数えるのではなく、むしろ君の不節制を伸ばし、増進させたのだと考えるべきだ。
『人生談義 上』288ページ
怒りという感情が起きなかったら、その感情が膨らむことはないので、怒りを膨らませる日常のあらゆることに注意する必要があるのです。逆に良い感情ー感謝、希望、やすらぎなどーも繰り返し感じることで、習慣になっていきます。
なるほど、繰り返すことで習慣になる。
それはその通りとは思いますが、やっぱり知りたいのは、じゃあ、どうしたら繰り返しできるか、なんですよね。いろんなところに誘惑もあって、欲望に負けずに習慣化するってすごく難しいんですよね。
仰る通りですよね。状況は古代ギリシャでもそう変わりはなかったようで、欲望に対応する方法も教えてくれていますので、ご一緒に見ていきましょう。
欲望に負けない方法は、繰り返し理性で対応すること
魂に関わる、改善したい心の在り方ー怒り、嫉妬、怠ける気持ちなどがこれに当たりますーが強くなったり、コントロールが難しくなることを「魂の病気」と呼んでいます。
魂の病気はどのように進行するのでしょうか?
というのは、君が一度お金が欲しいという気持ちになったときに、理性が介入してそれが悪いことだと気づかせようとすれば、その欲望はやんで、われわれの指導的部分が最初の状態を回復することになるが、君が治療手段をなにも講じることがなければ、もはや同じ状態に戻ることはなく、再び対応する心象によって刺激され、前よりももっと速やかに欲望の火を灯すことになる。
『人生談義 上』289ページ
自分の意思で、感情や欲望を抑えなければ、それらはどんどん成長していって、それらの感情や欲望があることが当たり前の状態になって、抑えようという意思さえなくなってしまいます。
だから、もし君が怒りっぽくなりたくなければ、君のその習慣を育てないようにせよ。つまり、その習慣が増大するようなものはなにひとつあたえてはならない。
『人生談義 上』290ページ
怒りたくなる感情が起きる原因は外部からのものもあるので、完全になくすことは難しいことです。
感情じゃなく、行動だともっと分かりやすいですね。
お菓子を食べ過ぎてしまうなら、お菓子を家に置かないとか。
その通りですね。
まずは、誘惑から離れるということが大事です。
その他の欲望に打ち克つ方法をいくつかご紹介しているブログもご覧ください。
ただ、日常で怒りたくなることや、イライラすることってどうしてもありますよね。
そうなんですよね。
なので、その習慣を育てないように、全てのきっかけをなくすことは難しくても、少しずつ減らしていくというのが現実的な解決策になると思っています。
怒りの感情の場合、自分で何とかできそうな怒りをなくすようにしてみること、そして、怒りが起きやすい場所や人にできるだけ近づかないことなど、できることから始めるといいですね。
理性で対応できた日を記録しておく有効性にも触れています。
まずは冷静にして、君が怒らなかった日を数えてみることだ。「私は毎日怒るのが習慣になっていたが、それが今は一日おきに、次に二日おきに、次に三日おきになった」。もし三〇日間ことなきを得たら、神に犠牲を捧げなさい。なぜなら、その習慣は最初は弱められ、次には完全になくなるからである。
『人生談義 上』290ページ
記録を付けることの有益性を説いています。
エピクテトスは30日続くと一つの成功だととらえていたようです。
ちなみに神への犠牲は、食物や動物の生贄もあったようですが、ここでは、継続したお祝いとして何か、あなた自身にご褒美を考えてもいいのかもしれません。
こちらのブログにも、やめたい習慣をやめるために記録をすることをおすすめしています。
30日でやめたい習慣はなくなりますか?
その方の状況や習慣の難易度、依存度などにもよるので一概にはいえませんが、この段階ではあくまで弱められているだけなので、完全になくなるまで気を抜いてはいけませんね!
それでも、欲望に負けそうになった時の3つの方法
欲望を避ける、欲望を避けた記録をつけてみるという方法を試すも、やはり、難しいと思われた方に、さらに3つの違う方法をご紹介します。
その時のあなたにぴったりの方法が見つかると、意外に簡単に習慣化できたり、やめたいことがやめられたりします。
何度でも繰り返し違うやり方を試してみてください。
感情にいろいろと質問してみることで、欲望に打ち克つ
まずその(心象)激しさによって心をつかまれてはならない。むしろ、「心象よ、少し待ってくれ。お前は誰なのか、何の心象なのかをみせてくれ。お前を調べさせてくれ」と言えばいいのだ。
『人生談義 上』292ページ *()は補足として入れています
心象=対象の気持ち を客観視するために、その気持ちを擬人化して問いかけてみるという方法です。
怒りという気持ちが湧いてきたときに、その怒りの感情に身を任せるのではなく、怒りに問いかけてみる。これができると、理性で対応しやすくなります。
これは、面白そうですね。次にもやもやとした気持ちが湧いてきたときに、質問してみようと思います!
誰かに頼ることで、欲望に打ち克つ
かくしてプラトンはこう言っている。「このような心象が君を襲ってきたときは、罪滅ぼしの犠牲を捧げることだ、禍いを防いでくれる神々の社に嘆願者として詣でることだ。また、君が知徳をかねそなえた人たちと交わるならば」、その人が生者のうちのひとりであれ、死者のうちのひとりであれ、それを基準に比較すれば十分なのである。
『人生談義 上』290ページ
神に祈ることを実行される方は少ないかもしれませんが、考える時間を持つと考えてもいいと思っています。
あるいは、自分が尊敬する誰かだったらどう対応するだろうと考えることで理性を働かせやすくなります。
憧れの先輩だったら、きっとこうするかもと考えることはあります!
サトウさん、いいですね。
こういったことは残念ながらすぐにできませんが、日々練習を繰り返すことで、だんだんと欲望ではなく理性で対応できるようになってきます。
もちろん、タスク管理パートナーのサービスをご利用いただくことで伸ばしたいことを強化していただくことも嬉しく思います。
今、いろんなことに最大限気を付けて、先延ばしをしないこと
君が少し注意を怠ったとき、好きなときにいつでもそれを取り戻せるだろうと考えてはならない。むしろ、今日犯した過失によって、必ず君が関わるほかのことで事態がより悪くなるという覚悟をしなければならない。というのは、第一に、不注意というすべてのなかで最も悪い習慣がついてしまい、次には、注意するのを先延ばしにするという習慣もついてくるからだ。
『人生談義 下』317ページ
注意することの先延ばしって、まあいいやと思うこともあるけど、無意識に過ごしてしまって、その結果、状況が悪くなるということもありますよね。
そして、幸福な生、しかるべき行為、自然本性にかなった状態や生活などはまた後でと、いつでも先延ばしすることになる。もし先延ばしすることが有益であるならば、全くやめる方がもっと有益である。
『人生談義 下』317ページ
先延ばしできるようなことならば、いっそやめてしまってはどうかというちょっと厳しい言葉です。
全てのことができるわけではないので、先延ばしをきっかけに、その習慣ややりたいと思っていたことを整理したり、やらないと決めて、習慣ややることを整理することもおすすめです。
明日に注意することがよいのであれば、今日注意すればどれほどよいだろうか。明日に有益になるのであれば、今日注意することにして、明日もそうすることができ、明後日に引き伸ばさないようにするほうが、はるかに有益であるだろう。
『人生談義 下』321ページ
その通りなんですが、それが難しくてぼくはタスク管理パートナーのサービスを申し込みました。
ありがとうございます
「わかっているのにできない」時は何かできない理由があるかもしれません。ご一緒にその理由を探して、お客さまのやりたいことを、やりたいタイミングで実行できるサポートを行っています。
先延ばしについては、古代ギリシャの叙事詩人ヘシオドスの言葉を紹介しています。
仕事を先延ばしする人はいつも破滅と戦うことになる
ヘシオドスの言葉を「真実であることを確信することになる」とエピクテトスは述べていますが、お客さまがそのような状態にならないよう、日々サポートしています。
習慣化する時に、言い訳には要注意
いろんな方法を紹介しましたが、やはり忙しい日常で気を付けるのはとても難しいことです。欲望に負けてしまった時、どうなるのでしょうか?
しかし、もし君が一度負けて、この次は勝つぞと言っても、次に同じようなことがまた繰り返されるならば、よく心得ておくことだ。君はいつか不幸で哀れな状態に陥って、その後は自分が間違っていることにも気づかず、そのことについて言いわけを始めることになるだろう。
『人生談義 上』293ページ
あああ、厳しい。
でもそうは言っても言い訳の一つくらいはしたくなります・・・
言い訳をしていると気が付いた時も気付くタイミングですね。そこからまた何度でもやり直したらいいのです。
お一人だと難しいところは適切に誰かに頼って、あなたの習慣化ややめたいことをやめられるよう応援しています。
古代ギリシャの哲学者、エピクテトスの言葉はいかがでしたでしょうか?今回は習慣について、関連のある章を取り上げてご紹介しました。このブログの中に新しい発見があれば嬉しく思います。
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