『実践行動経済学』(リチャード・セイラー/キャス・サンスティーン著 日経BP社)は、2009年出版の本です。
本書から私たちが聡明な選択ができない理由とその解決法についてご紹介ます。
目次
行動経済学って何?
そもそも行動経済学とはなんでしょうか?Wikipediaにはこのように書いてあります。
行動経済学(こうどうけいざいがく)とは、経済学の数学モデルに心理学的に観察された事実を取り入れていく研究手法である。
行動経済学は当初は主流派経済学に対する批判的な研究として生まれたが、1990年代以降の急速な発展を経て米国では既に主流派経済学の一部として扱われるようになった。
こちらの本は副題に「健康、富、幸福への聡明な選択」という副題がついています。
私たちは残念ながらいつも聡明な選択ができるわけではありません。
では、その選択が難しい場面、状況をご紹介します。
そんな状況を知ること、そして、その状況の解決にタスク管理を活用する方法もご紹介します。
選択が難しい状況
選択と結果にタイムラグがあるときは、選択が難しい
運動やダイエットなど良いことを選択する「投資財」
コストはすぐに発生するけれど、便益は後から生じます。
喫煙、多量の飲酒などの「罪深き財」
快を今すぐに得て、ツケを後で払います。
「投資財」と「罪深き財」は極端なもののように思いますが、選択と結果にタイムラグがあるという点では同じで、どちらも新年の目標に設定されやすい項目です。
そして、どちらも大いに自制心の問題(誘惑、3日坊主、度重なる挫折などによる諦めなど)が生じるため、聡明な選択がしにくいものです。
あ~、これはもう、結果が目に見えなくて、コスト(労力、時間)ばかりかかるから続けにくいんですよね~。
困難度によって、選択が難しくなる
日常生活の様々な問題はかなり難しいものが多く、正解がわかりにくいものです。正解がわからないものは困難度が高くなります。
だからといって、どうするかという選択をせずに放置しておくとたいていはさらに大変なことになるので、難しくても、選択していくことをおすすめします。
頻度が低いと、 選択が難しくなる
難しい問題でも、練習すれば対応がしやすくなります。
勉強でも、人生の大事なことでも、仕事でも。
ただ、重要な意思決定の中にはたくさん練習する機会のないまま選択をしなければいけないことも多いです。大学選び、配偶者選び、持ち家の購入などなど、人生で1度、多くて2度程度の選択しかしない、頻度の低い事柄は聡明な選択が難しいものです。
重要なことほど、何度でも選択できる社会の仕組みになっているといいのにな。
また、わかっているようで難しいものが自分の嗜好です。
こちらもいつも嗜好について学ぶ機会があるわけではないので、不慣れな状況下で嗜好を予測する必要があります。例えば、海外旅行での現地での食事の選び方などがこの例に当てはまります。
改めて聞かれると、あれ?と思うことですよね。これは普段から自分で確認することで選択しやすくできそうです。
フィードバックがないと、 選択が難しくなる
日常生活ではいつも明確なフィードバックが返ってくるとは限りません。
私たちの選択の多くは、選択したもののみフィードバックが得られ、選ばなかった選択肢についてはフィードバックが得られないことが普通です。
人生のある時期に選ばなかった道に進んだ自分も知ることができるといいのかな?あなたは知りたいと思いますか?
さらに、選択したことについても適切なフィードバックがないと、その選択が正しかったのかとわからなくなります。
他者からのフィードバックも時としてあるといいでしょうが、まずは、あなた自身で選択のフィードバックをしてみることがおすすめです。
選択が難しい、の解決方法
このような難しい選択を少しでも自分にとって良い選択ができる方法をご紹介します。
解決方法:デフォルトの選択
デフォルトの解決方法として、最も抵抗の少ない経路を歩くというものがあります。
労力を必要としない、惰性と、要はいつも通りに、変わらないことですね。
これが最適解の時もありますが、よりよい選択ができる方法を他にも考えてみましょう。
解決方法: エラーを予期する
今までの経験は役立ちます。
これまでの経験をもとに考えると、その事柄のどこにつまずきやすいのかがわかるので、それらを考慮します。また、自分の性格や思考も考慮にいれると良いでしょう。
それらを総合すると、進みにくい箇所、間違えやすい場所(エラー)が予測しやすくなります。
タスク作成の際に、予測したことを基にタスクを作ると、今までより進みやすくなるでしょう。
例えば、いつもギリギリに取りかかり、時間が不足するという問題がある場合はスケジューリングを工夫します。
解決方法: フィードバックを与える
パフォーマンスを向上させるのに大事なことにフィードバックがあります。
適切なフィードバックはモチベーションのアップはもちろん、効率的な方法を選択できたり、生産性の向上に寄与します。
目標に向かっているかを確認するためのフィードバックのタスク、PDCAのC(check)に当たるタスクを作成し、さらに、適切に日にちを入力しておくことで適切な時期にフィードバックを与えることが可能です。
解決方法: 複雑な選択を体系化する
複雑になればなるほど、動きにくくなります。複雑なことは分かりやすくまとめたり、単純化することで行動しやすくなります。
まとめた、分かりやすくて、単純なタスクを作成することで解決に1歩踏み出せます。
何日も繰り越しをしているタスク、取りかかれていないタスクは、タスクが大きい場合がありますので、すぐに行動できる大きさにまで細分化させて、まずは行動しましょう。
解決方法: インセンティブ
ご褒美が欲しいと思ったときには適切なインセンティブを自分に与えるようにしましょう。
タスク管理のインセンティブは、タスクにチェックがついたことです。
ただし、インセンティブは目標や選択を邪魔しないものにしましょう。例えば、ダイエット中であれば、ダイエットを中断するようなご褒美でなく、食べる、飲む以外のインセンティブがいいでしょう。ダイエットを加速してくれそうな物や事がおすすめです。
私たちは1日で9,000回も判断しているとも言われています。
それらの判断を良いものにするためにも何が選択を邪魔しているのか、そしてそれらを解決する方法のいくつかをご提案してみましたので、今後の選択の参考にしてください。
さらに具体的に知りたい方は本書も手に取ってみてください。
実践行動経済学における良い選択についてさらに知ることができます。
選択を難しいと感じられている場合は、タスク管理パートナーとご一緒にベーシックサポートプランで選択の練習と振り返りを何度も行いましょう。