タスクの先延ばしが積み重なって、締切の数日前になってようやく火が付く・・・
そんな経験、ありませんか?
「やらなきゃ」と頭では理解しているのに、気がつくと別の作業や動画に逃げてしまう・・・
そんな先延ばしは意志の弱さではなく、脳と感情の仕組みから説明できます。
わかってるんですけど、手が動かないんですよね
気づいたらSNSで時間が消えてて…
先延ばしにはいろんな原因がありますが、もしかすると、気分転換のための先延ばしになっているかもしれません
仕組みを整えていくことで、先延ばしを少しでも減らしていきましょう
この記事では、先延ばし研究をリードしてきた心理学者ピアーズ・スティール氏のメタ分析、時間動機づけ理論(TMT:Temporal Motivation Theory)、感情調整モデルをもとに
- なぜ先延ばしが起こるのか
- どう仕組み化すれば動けるのか
を解説します。
シリーズ全体のハブとして、後続記事や関連ガイドへの導線もご案内します。
同氏の著書『人はなぜ先延ばしをしてしまうのか』についてのブログも合わせて参考にしてください
まずは、なぜ先延ばしをしてしまうのか、その理由を2つご紹介します
目次
「自己コントロールの失敗」が原因
スティール氏 (2007) *1は 691 件の論文のエビデンスを統合し、先延ばしを 「自己コントロールの失敗」と定義しました。
意志力の欠如ではなく、衝動性や時間価値の低下によって「やるべきこと」と「今の快楽」のバランスが崩れることが先延ばしの原因の1つです。
先延ばしをする時には、以下のような状況が共通してみられたということです
- 先延ばし傾向が強い人ほどストレスが多く、生活満足度の低さを感じている
- 自己効力感が低く、締切が遠いほど、作業は後回しになりがち
- 完璧主義よりも「衝動性」「タスクへの苦手意識」が影響要因として大きい
先延ばしをして良いことはなさそうです
先延ばしをしていることを認識していて、いつも気になってしまうのもストレスが増える原因です
先延ばしは「気合を入れる」のではなく、仕組みで自己コントロールを支援することで減らすことができます。
「気合い」「努力する」などの抽象的な言葉ややる気で何とかなっていない場合は、続きを読んで参考にしてください
「不快感から逃げる行動」が原因:短期的な嫌な気持ちの回避としての先延ばし
Sirois & Pychyl (2013)*2 は、先延ばしを 「短期的な気分転換」 と位置づけました。
嫌なタスクに触れると不安や退屈が生まれ、その不快感から逃げる行動の結果が先延ばしです。問題は、逃げた直後は楽になっても罪悪感や自己批判が残り、先延ばし後のモチベーションをさらに下げてしまうことです。
特に以下のパターンに覚えはないでしょうか?
- 嫌なタスクを見ただけで、SNS・メールチェックをついしてしまう
- 罪悪感 → 自己批判 → さらに回避、のループができる
- ストレスや疲労が高い日ほど、快楽に手が伸びやすい
何だか、過去のぼくを思い出します
別にサボっているわけではないのに…
取り組みにくいタスクがある→先延ばし→嫌なタスクに変化→さらに先延ばし→手が付けられないタスクに成長、みたいにどうしようもないタスクに育っていくんですよね
嫌な感情から距離をとる仕組みを作らない限り、意志で押し切るのは難しいのです。
嫌なことを避けるのではなく、嫌な感情を避けるんですか?
嫌なことも結局はやらないといけないこと(避けられないこと)なので、「嫌だな」という感情が出てきた時に、どのようにその感情に対処するか、というのが仕組み作りになります
なるほど、まとめると先延ばしの原因は2つ
・「やるべきこと」と「今の快楽」のバランスが崩れること
・不快感から逃げる行動
ということですね
でも避けたい気持ちは変わらないんですよね~
そうですよね、そんな先延ばしはどうやったら改善できるかをここからはご紹介します
時間動機づけ理論(TMT)の式と4要素
先延ばし防止の具体策をお伝えする前に、行動するときに必要な動機づけ(≒やる気)の式で気持ちを数字に変える方法をご紹介します
Steel & König (2006, 2018) *3が提唱した時間動機づけ理論(TMT)は、やる気を次の式で表しています。
動機づけ = (期待 × 価値) ÷ (衝動性 × 遅延)
- 期待(Expectancy):「自分ならできるはず」という見込み
- 価値(Value): 完了時に得られる報酬や意味
- 衝動性(Impulsiveness): 目先の刺激に引っ張られる程度
- 遅延(Delay): 報酬を得るまでの時間
例えば
すごくやる気があり、すぐに取り組めるタスクの場合、
期待=100、価値=100、衝動性=10、遅延=10 とすると、
動機づけは
(100 × 100) ÷ (10 × 10) = 100
となり、非常に高い状態だけど、一方で
あまりやる気がなく、取りかかりに時間がかかるタスクは、
期待=50、価値=50、衝動性=20、遅延=50 とすると、
動機づけは
(50 × 50) ÷ (20 × 50) = 2.5
と低くなるんですね
このように、期待や価値がそれほど低くなくても、
衝動性が高く、報酬までの遅延が長いだけで、
動機づけは一気に下がってしまうことが分かります
数字で表すことで今の自分の状況を冷静に判断しやすくなります
締切が近づくと「遅延」が小さくなり、動機づけが上昇する一方、期待や価値が低いタスクほど先延ばしが起きやすくなります。
式として可視化することで「どの変数を操作するか」を選べるようにもなります。
先延ばし防止の具体策4つ
ここからは具体的な先延ばしの防止策を4つご紹介します
自分一人で行うのは、なかなか難しいのでサポートと組み合わせた具体策を紹介していますが、まずはこの流れをご自分で試してみてください
期待(できそうか)を上げる
前に似た案件で詰まった記憶があって、また失敗しそうで手が止まっちゃいます
(解説:以前に感じた不安や、初めて取り組む仕事など、心配に思うことはたくさんあります
一人だと堂々巡りで立ち止まってしまい、先延ばしをしてしまう時も、タスク管理パートナーに話すことで仕事も気持ちも整理できます
お一人で取り組む場合は、気持ちを整理するために書き出すことも有効です)
サトウさん、大丈夫です
まずは、5分で終わる小さなタスクから始めるため、今日の最初の一歩を一緒に決めましょう
その他にもこんな方法もあります
- タスクを 30 分以内で終わる大きさに分割
- 毎日メッセージで「今日の最初の一歩」を宣言 → 達成報告を送る
- 過去の成功例をメモしておき、着手前に読み返す
もしかすると、どれも知っていることかもしれません
でも、実行したことはありますか?
ぜひ一度知っていることを実行してみてください
やろうとしてもできなかった、やってみたけどしっくりこない、という方はタスク管理パートナーがあなたの進捗のお手伝いをします
価値(やる意味)を高める
この資料、上司がちゃんと読んでくれるのかも怪しくて、つい後回しで…
誰の成果につながるのか、完了したらどんな変化が起きるかを確認するのがおすすめです
今週の週次レビューの時間にご一緒に確認しましょう
この仕事に何の意味があるのか・・・、私の仕事なのか・・・そういった仕事の場合は以下のこともご確認ください。
- 完了後に得られるメリットを 3つ文章化し、デスクに貼る
- 週次レビューで「完了したら誰が助かるか」「次の成果にどうつながるか」を確認
- 成果をチームに共有する予定を立てる
あなたが納得する価値を高めていき、取り組みやすい工夫を行います
衝動性(目先の誘惑)を下げる
集中しようとするとスマホの通知が鳴って、気づくと YouTube を渡り歩いてるんですよね…
15 分だけ視聴時間を作って、その後はスクリーンショットで私に報告するルールにしましょう
スマホは別室に置くと「つい」が減ります
また、具体的にスマホの視聴時間を減らしたい場合は「やめたいのにやめられない」を脱出!」のブログも参考にしてください
誰でもが経験している「誘惑」。誘惑に打ち勝とうとは考えずに、無理なく離れる環境を作っていきます。
目先の誘惑を遠ざけるいろんな方法がありますが、一度に複数の方法を試すより、一つずつ試すことで、あなたにとって効果的な方法が分かります
つい、あれもこれもやりたくなるんですよね
遅延(報酬までの距離)を縮める
締切が2週間先だと明日でいいやの繰り返しになって、結局期限前日に地獄を見るんです
タスクのゴールではなく、今日のゴールを決めましょう
完了したら小さなご褒美を決めたり、夜のメッセージで進捗を報告して、できたことを自慢してください!
- タスクの中間ゴールを設定し、完了ごとに小さな報酬を用意
- 「今日中に着手する」など、締切を短く分割し、毎日通話で結果を確認
- ToDoリストの共有でリアルタイムに進捗を可視化
タスク完了までの時間を意識するのも有効です
やればやっただけ必ず進むので、毎日のゴールを一緒に決めましょう
期待を上げる
価値を高める
衝動性を下げる
遅延を縮める
この4つを実行すると先延ばしをしなくなるのだと思いますが、わかっているけど、できないってヤツじゃないですかね・・・
お一人で進めるのは、なかなかハードルが高いことですので、サポートを受けることで取り組みやすくなります
大事なのは、この 4 セットを整えて「できない自分」ではなく「動ける仕組み」に視点を移すことです
やることリスト作成とサポートの上手な利用方法
実際にどんなサポートを受けて、ぼくは何をやればいいのでしょうか?
先延ばし脱出としてのサポートは
宣言 → 実行 → 報告のサイクルを回すことが核になります
サトウさんは
1、宣言と報告
2、朝に大変なタスクの実行
をお願いします
3つ目の誰かに報告する、はサトウさんはタスク管理パートナーのサービスを利用されているので大丈夫です
誰かがいない場合は、家族/友人/同僚/SNSなどをまずはお試しください
1. 朝の宣言と夜の振り返りを習慣化する
朝一番に「着手するタスク」「所要時間」「開始時刻」の宣言、
夜に「完了タスク」「気分」「次(明日)のタスク」をパートナーに報告します。
しっかりこの通りに書き出すととても有効ですが、まずは朝に「着手するタスク」の宣言、夜に「完了タスク」を報告してもらうことが最初の1歩です
そもそもタスクを作ることが最初はかなりハードルが高いのですが…
口頭だけでなくテキスト化することで、「期待」を可視化し、自己効力感を維持できるので、書くことをおすすめしています
タスク管理ツールを便利に使うことで管理がしやすくなりますよ
報告も面倒になったりするときの良い方法はありますか?
大丈夫です
その時は、パートナーにスクリーンショットを送るなど、無理のないように報告してください
2. 「苦手意識の高いタスク」を朝のゴールデンタイムに取り組む
多くの人が、朝の時間がもっともエネルギーがあるので、その時間に一番大変なタスクに触れるようにします。
避け続けていると、さらに大変になるうえに結局やらないといけないので、朝の時間に必ず取り組むようおすすめします
具体的には「午前中の15分、必ず〇案件に取り組む」「午後一に30分取り組む」など、時間割を作るのも良いですね
積み重ねていくと、避けたい感情がちょっと和らいできます!
そうですね!
完了タスクを週次レビューで見返すことでもその仕事の「価値」が実感できますが、同時にできた瞬間の出来事や気持ちも(感謝された・成果が出た)書いておくと、未来のやる気につながります
3. 進捗の外部報告先を確保する
タスク管理パートナーのサービスでは、毎日の通話やメッセージでこのサービスを提供していますが、誰かがいない場合、家族/友人/同僚/SNSなどに報告するのもおすすめです。
タスク管理パートナーのサービスを利用する場合は、毎日2回メッセージを行う、メッセージサポートプランを活用し、宣言と振り返りをパートナーに共有できます。やりとりに感情を添えると「気分転換」の誘惑が弱まります。
週1回の 週次レビューでは、中長期の課題や成功体験を整理し「価値」「期待」を再確認できます。
また、タスクを共有することで、タスクの遅延を可視化できます。
朝に宣言して夜に報告するだけで、意外とやった証拠が貯まるんですね
成果のメモが増えるほど、明日の期待値も上がります
嫌いなタスクほど朝に片づける作戦、続けていきましょう
要点まとめ
このブログの内容をまとめると以下のようになります
- 先延ばしは自己コントロールのつまづきで、意志よりも仕組みの調整が有効
- TMT の 4 要素(期待・価値・衝動性・遅延)を意識すると対策できる
- 先延ばしは短期的な気分転換なので、感情を受け止める仕組みが必要
- 期待と価値を上げ、衝動性と遅延を下げる具体策を日常に落とし込む
- 外部サポート(毎日のメッセージ/週次レビュー)を活用して、宣言と報告のサイクルを作る
1,2は意識すること、3,4はやることを決めて実行することになりますね
ぼくはもう、どうにもならないと思っていたので、5のタスク管理パートナーさんのサービスに頼りましたが、今だったらまずは、朝にやることを書いて、夜にチェックすると思います!
まあ、これはなんとなくできてきたから言える事なんですけどね
まずはできるかも?と思えることから始めてみて、やっぱり難しいなと思ったらお気軽にタスク管理パートナーのサービスをご利用ください
よくある質問
Q. 先延ばし癖が強いと、タスク管理パートナーのサポートを使いこなせるか不安です
A. ほとんどのお客さまが「動けない状態」からスタートされています。最初の 1〜2 週間は 「タスクを小さく切り分ける」「朝・夜に報告のメールをする」の 2点に集中します。
- 1 週目: 毎日のメッセージで「今日の最優先タスク」と「実際にやったこと」を送り、成功ログを蓄積
- 2 週目: 成功ログをもとに、週次レビューで「自走できたタスク」「伴走が必要なタスク」を分類
- 3 週目以降: 自走できるタスクはチェックリスト化し、伴走が必要な部分は引き続き通話やメッセージで支援を継続
報告もタスクだと思って億劫でしたが、できた記録が増えると「今日も報告したい」気持ちがわいてきます
先延ばしマスターのような方には、毎日通話サービスのあるフルサポートプランをおすすめします
毎日の通話であなたのできない/進まないストレスや不安を解消します
Q. 先延ばしの原因が感情なのか、時間見積りの甘さなのか判断できません
A. 別の記事でチェックリストを紹介しますが、まずは以下の 3ステップで自己診断してみてください。
1. 取りかかる前のメモ: 「いまの感情」と「必要だと思う時間」を 30秒で記録
2. 終了後のメモ: 「実際にかかった時間」と「終わった直後の感情」を記入
3. 傾向分析: 感情が安定していない場合はセルフコンパッションを意識、時間のズレが大きいなら時間や計画がズレるのを防ぐことを優先
ログをパートナーに共有すると問題がどこに問題があるか一緒に整理できます。
あなたの特性を知ることで、対策もしやすくなります
Q. 仕事以外の趣味や家事も先延ばししてしまいます
A. TMT はプライベートにも適用できます。家事・運動・趣味を次の順で再設計してみましょう。
以下の例のように、あなたバージョンを作ってみてください
もちろん、通話やメッセージ内でパートナーも作成をお手伝いします
- 期待: 家族や友人と役割分担表を作り「自分が担当する理由」「完了後のメリット」を共有
- 価値: 完了後のご褒美を設定
- 衝動性: リビングの誘惑ゾーンを物理的に区切り、タイムロック付きボックスやスクリーンタイムで制限
- 遅延: 「週末まとめて」ではなく「平日 15 分×週4日」などで分けて、Tやることリストに完了スタンプを押す
家事もスタンプを押したら報告するに変えたら、達成感が出て家族との会話も増えました
タスク管理パートナーのサービスはプライベートにもお役に立ちます
今までも、ダイエット、貯金、ジム通いなどのサポートも行っています
Q. 宣言や報告を続けられるか自信がありません
A. 宣言・報告を習慣化するには、テンプレ化して 30 秒で送れる仕組みにしましょう。
- 朝テンプレ: 今日の着手[タスク名] / スタート:[時刻] / 目安:[xx分]`
- 夜テンプレ: 実績:[○分] / 気分:[◎◯△] / 明日やること:[一言]
- スマホ辞書、定型文アプリ、Notion クイックメモなどに保存し、送れなかった日は「送れなかった理由」を 1 行書いて翌日以降に気を付けます。
はじめる前は不安に思われるお客様もいらっしゃいますが、お一人お一人に合わせた方法をご提案し、多くのお客様に継続していただいています
Q. サポートを受ける前に準備しておくと良いことはありますか?
A. 相談前に3日ほど「やろうとしたタスク」と「実際に使った時間」をメモしておくとヒアリングがスムーズです。
- 既存の Google カレンダーやタスク管理ツールなどで大まかな記録を残す
- 紙メモの場合は「着手時刻」「中断理由」を書いておく
- 初回セッションではその記録を見ながら「先延ばしが発生する瞬間」「支援が有効なポイント」を一緒に考えていきます
ここまで準備していただけると完璧ですが、準備はしていなくても大丈夫です
今までの状況を教えてください
ぼくは、サービスを見つけてすぐに申し込んだので、何も準備していなかったですよ!
実はサトウさんのタイプの方がほとんどですので、どうぞお気軽お申込み、ご利用ください
その他の質問は、お問い合わせからいつでもお尋ねください
プランに迷われた場合は、1か月ベーシックサポートプランをご利用いただき、その間にあなたにちょうど良いプランへの検討を行いましょう
参考文献
- *1: Steel, P. (2007). The nature of procrastination: A meta-analytic and theoretical review of quintessential self-regulatory failure. Psychological Bulletin. doi:10.1037/0033-2909.133.1.65
- *2: Sirois, F. M., & Pychyl, T. A. (2013). Procrastination and the priority of short-term mood regulation. (PDF)
Social and Personality Psychology Compass.doi:10.1111/spc3.12048 - *3: Steel, P., & König, C. J. (2006). Integrating theories of motivation.
Academy of Management Review. doi:10.5465/amr.2006.22146203 - *3: Steel, P. (2018). A future for procrastination research.
Journal of Management. doi:10.1177/0149206318771979








