タスクに戻ろうとしても頭が切り替わらず、気づけばSNSを徘徊─それは、注意残滓(前のことに注意が残ってしまう状態)が原因かもしれません。
タスクの切替で残る情報のカケラが次の作業を邪魔し、デジタルの誘惑がその隙を突いてきます。
ちょっとだけと思って一度スマホを触ると、仕事にもなかなか戻れなかったし、戻れても集中がなかなか戻らなかったです
「ちょっと休憩」「メールの返信だけ」といった小さなことでも、注意がそれてしまうので、できるだけタスクの切替を少なくし、誘惑を事前に遮断する環境を整えていきたいですね
この記事では、Leroy (2009)1 のタスクの切替によっておこる注意残滓研究とデジタルの誘惑の知見をもとに、集中が戻らない原因を分解し、デジタルツールとの付き合い方を含めた環境を整えるための具体策をまとめます。
タスクの切替で残る情報のカケラとは何か
Leroy (2009) は、「未完了のタスクから注意が完全に切り替わるまでには時間がかかり、その残りカス(残滓)が次の作業を妨げる」と指摘しました。タスクを途中で中断すると、脳内に未完了情報が残り、集中力が削がれます。
- マルチタスクや頻繁なタスクの切替は注意残滓を増やす
- 完了に近いタスクほど残滓が強く残り、気が散りやすい
- 中断前に「どこまで進んだか」「次の一手」をメモするとタスクに戻りやすい
途中で他の仕事が入るたびに、戻るのに時間がかかる理由が分かりました
「次にやることメモ」を書くだけでも再開がしやすくなります
シングルタスクが基本的には仕事が進みやすくなります
マルチタスクで頑張っても仕事が終わらないあなたへ でシングルタスクの効率の良さを確認してみてください
さらに誘惑対策とセットにして、仕事の再開をしやすくしましょう
デジタルの誘惑実験の結果:知見と限界
デジタルデバイスの通知は、ほんの数秒でも注意を奪い、回復に数分かかることが実験で示されています。スマホ介入研究では、アプリの遮断や通知オフの効果が確認されていますが、長期的には、自分でルールを作り、守ることが有効とされています。
- 通知が鳴るだけでパフォーマンスが低下(通知だけ見て触らなくても影響あり)
- アプリブロッカー(利用時間制限、通知停止、特定コンテンツのブロックなど)は短期的に効果があるが、解除されやすい
- 物理的に視界から除去すると、誘惑の頻度が減る
そんなことで?と思っていたのですが、どの対策も有効でした
特にアプリブロッカーは再設定する面倒くささが勝って、守りたい設定を維持できています
ぼくの面倒くさがりもたまには役立つものですね
「先に遮る」3ステップ:物理分離・アプリ遮断・時間帯予約
ここからは具体的な対策をお伝えします
最初は、アプリブロッカーだけ、物理的に見えないところに置くだけなど、一つずつでも有効です
絶対に先に設定しておいた方が楽です!
すぐにスマホを見てしまう自分を信用してはいけませんよ!
1,物理的に離す、通知をオフにする
- 作業中はスマホを別室、もしくは視界に入らない場所へ置く
- PC/スマホの通知はオフにする
物理的に見えない、手の届かない場所というのは意外に効果的で驚きました
カフェなどで作業や勉強をしたい時はスマホをカバンの奥深くにしまっておきます
スマホが机の上にあるだけで気が散ってしまうという、Ward et al.(2017)*の研究があり、スマホは使っていなくても、近くにあるだけで注意力を消耗させることが研究で示されています
自分はすぐに戻れるから大丈夫という考えを一度見直してみるのはおすすめです
2,よく使うアプリの遮断
- 作業時間に合わせてブロッカーを設定 例:Focus To-Do、Forestなど
- ブロッカー解除のパスコードをパートナーに共有し、自分では解除できないようにする
便利なツールがたくさんあるので、いろいろと使ってみて、あなたに合うツールを見つけるのがおすすめです
パスコードをパートナーさんと共有する前に自分でコントロールはしたいです・・・
3,通知を見る時間を計画する
- 「通知タイム(午前10時・午後4時など)」を決め、メールは時間ごとにまとめて開き、それ以外の時間はチェックしないルールを作る
- 通知タイムが終わったら、開始トリガー(アラーム、音楽など)で仕事モードに戻す
そのままメールやスマホを見続けないように、確認する時間を決めて、開始のための仕掛けも同時に考えていきます
ぼくはメールを確認する時間を決めたことがかなり効果がありました
通知もないのについつい見てしまうクセもだんだんなくなったのも、地味に時間を節約できています
環境や仕組みで誘惑を減らすと「ここまで」「あともう少し」などの意志力の消耗も減ります
すぐ再開できるプラン:中断時の復帰テンプレ
そうはいっても、自分の誘惑だけで仕事が中断されるわけではありません
どうしても仕事を中断せざるを得ない時に、再開をスムーズにする方法をお伝えします
もちろん「どうしても」じゃない時も使える方法です
会社では、中断後の同僚とのおしゃべりにも要注意だったりします
中断が避けられない仕事では、「再開の手がかり」を用意してから離席します。中断しても、迷わず次に手を動かせる状態を作ることを目指します。
- 進捗メモ:「ここまで完了」「残タスク」をメモに残す
- 最初の一手:「戻ったら〇〇を5分やる」と書く
- 資料整理:必要なファイル・タブを整理し、戻ったときに迷わないようにする
中断時にこの3つを30秒で記録、整理するだけで、再開時間が短縮されます。
再開しやすい環境や線の引き方は皆さんそれぞれ違いますので、あなたが再開しやすい方法をみつけていきましょう
ぼくは、自分にメモをするだけでも大きな効果があって、さらにメモの仕方も工夫して自分に合う方法が見つかりましたよ
毎日のメッセージで開始トリガーを誰かに報告する
とはいっても、自分でやるのはなかなかハードルが高かったので、タスク管理パートナーさんにサポートをしてもらいました
難しいなと感じたらなるべく早くに頼る方が時間も労力も削減できます
誘惑を断った後は、着手トリガーを自分ではない誰かに設定するとより効果的です。
- 朝のメッセージで「9:00〜11:00は通知OFFにします」と宣言
- 途中で誘惑が発生したらスクリーンショットを送信
- 終了時に「何分戻るのにかかったか」「環境をどう整えたか」などを報告
記録が溜まれば、誘惑が減る時間帯やパターンも見えてきます
要点まとめ
- 注意残滓は未完了タスクから離れた後も注意を奪い、集中を阻害する
- デジタルの誘惑は短時間でもパフォーマンスを低下させるため、物理的な分離が最も確実
- 「先に遮る」3ステップ(物理分離・アプリ遮断・時間帯予約)で誘惑を減らす
- すぐ再開できるプランで中断からの再開を短縮する
- 毎日のメッセージで宣言・共有すると、誘惑を見える化できる
どれも役立ちそうで、たくさんあるとどれを選んでよいかも悩んでいましたが、タスク管理パートナーさんにサポートしてもらえたので、自分に役立つ考え方を取り入れてスムーズに進んでいます
よくある質問
Q. スマホを別室に置くのが難しい場合は?
A. スマホの通知を完全にオフにし、視界に入らない引き出しや箱に入れるだけでも効果があります。机の上に置かないことが最優先です。
ぼくがやっているようにカバンの中に入れるのは簡単でおすすめですよ
その時の状況によってできることをやってみましょう
ハンカチで包む、ノートの下に隠すなども案外有効です
Q. アプリ遮断を繰り返し解除してしまいます
A. ブロッカーの解除パスコードをパートナーに預ける、または「解除したら罰金」などコミットメント・デバイスを組み合わせると継続しやすくなります。
コミットメントデバイスについては、こちらのブログも参考にしてください。
パートナーさんにはさすがに共有したくないので・・・
もちろん他の人にもなんて思われそうかも嫌だし、そこはがんばります
誰かの協力を得た方が良いなと判断された場合は、家族でも友人でも同僚でも、頼めそうな人に頼んでみましょう
その際にはちゃんとお礼をすることもどうぞお忘れなく
もちろん、タスク管理パートナーにもいつでも頼ってください
Q. すぐ再開できるプランを書く時間がないときは?
A. 「戻ったら〇〇を5分やる」と一行だけでもOKです。メモを短くするほど戻りやすさが上がります。
机の上にメモとペンをおいておき、すぐに書ける仕組みもぜひ取り入れてください
Q. 在宅勤務だと誘惑が多すぎて困ります
A. 仕事スペースと生活スペースを分ける、背景音を固定する(集中プレイリスト)など、環境の切り替えを可視化しましょう。タスク開始時に「開始儀式」を持つのも有効です。
確かに家は誘惑が多い、だからこそぼくは諦めてカフェやコワーキングスペースに行っています
参考文献
*. Ward et al. (2017). Brain Drain: The Mere Presence of One’s Own Smartphone Reduces Available Cognitive Capacity
Journal of the Association for Consumer Research
- Mark, G., Gudith, D., & Klocke, U. (2008). The cost of interrupted work: More speed and stress.
Proceedings of the SIGCHI Conference on Human Factors in Computing Systems. doi:10.1145/1357054.1357072
- Stieger, S., Lewetz, D., & Reips, U.-D. (2018). Can microbreaks really recharge you?
Journal of Applied Psychology. doi:10.1037/apl0000296