『insight(インサイト)いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力』 ターシャ・ユーリック著/英治出版
このテーマについて長年研究してきた結果、私は「自己認識は二一世紀のメタスキルだ」と言うまでに至った。本書を読み進めれば分かるように、現在の世界における成功にとって極めて重要な各種の力ー心の知能指数、共感力、影響力、説得力、コミュニケーション力、協調力などーは、すべて自己認識がもとになっている。
『insight』18ページ
今回はこちらの本より、二一世紀のメタスキル、自己認識を理解し、よりタスクが進むヒントを得たいと思います。
なかなか厳しい言葉も出てきますので、覚悟してお読みください。
自己認識かあ、できていると思っているけど、どうなんだろう。そして厳しい言葉というのが気になります。頑張って読み進めます!
目次
自分が知っている自分と他人から見た自分は同じですか?
サトウさん、EQ(心の知能指数)という言葉はご存知ですか?自己認識にも役立ち、生活のあらゆるところで大事な指標とされています。
はい、研修や、テストを受けたこともあります。
結果はいかがでしたか?
悪くなかったですよ、評価の良い点は伸ばすように、改善点は気を付けるようになりました。
ところで、その指数は誰が決めましたか?
え?当然、ぼくですが・・・
組織心理学者の著者の経験は、EQの指数が向上しているという発見とは異なり、EQの低さゆえに起こる問題が、近年増加しているように感じていたようです。
著者が調査を行って気が付いたのが、EQは調査した人々本人の「自己評価に基づくもの」だということです。
それって・・・
著者曰く「自分が知るなかで最も心の知能指数が低いと思われる人を数人思い浮かべてみよう。その人たちに心の知能指数を自己評価してくださいと尋ねたら、賭けてもいいがその人びとは最低でも平均以上の評価をくだすと思わないだろうか。」
・・・(思い当たる人はいるかも)
自分が考える自分と、他人が見る自分の差が大きくなってきているとする方が現実的で、EQの上昇に見えたものは、自己認識の低下を意味している可能性が高いということです。
確かに・・・、でも正しく自己認識するのはどうしたらいいのでしょうか?
まずは、自己認識について知識を得て、それらをご自身の仕事や生活面などに活用して欲しいと思っています。
EQの診断も役立ちますが、今回は違った視点から自己認識について学んで、活用していきましょう。
客観的に自分自身を検証するよりも、自分は素晴らしく、特別な何かを持っているという色メガネで自分自身を見るほうが誰にとっても心地良いのです。
職場であれ、家庭であれ、学校であれ、遊びであれ、私たちは他人の認識不足をすぐに責めるが、自分に認識が欠けているか自問することは極めて稀である。
『insight』20ページ
何だか思い当たることですねえ・・・
ほとんどの人は自分のことをよく知っていると思っていますが、「この自信は根拠のないものであることが多い」というのが残念ながら事実です。
さらに「最も能力のない人びとが、自分の能力に最も自信を持っている場合が多い」とまで書かれています。
それほど、自己認識は難しいものですが、まずは自己認識とは何かを改めて確認して、自己認識できる方法をご紹介していきます。
自己認識の定義は、自分自身のことを明確に理解する力
著者の研究チームは、自己認識のできる人の構成要素を解き明かそうと次のように定義しました。
厳密な定義は印象より遥かに複雑なものだが、自己認識とは、要するに、自分自身のことを明確に理解する力ー自分とは何者であり、他人からどう見られ、いかに世界に適合しているかを理解する能力だ。
『insight』15ページ
要するに自己認識とは、自分自身と、他人からどう見られているかを理解しようとする意思のことです。
自己認識ができている状態について、内的自己認識と外的自己認識と分けて説明しています。
内的自己認識は、自分自身を明確に理解する力のことを指す。それは自分の価値観、情熱、野望、理想とする環境、行動や思考のパターン、リアクション、そして他者への影響に対する内的な理解のことだ。
『insight』22ページ
内的自己認識の高い人は、より幸せで満足度の高い生活を送る傾向にあり、内的自己認識にかけた人は、自分が何を求めているかわからなくなってしまう傾向にあります。
外的自己認識は、外の世界視点から自分を理解すること、つまり周りが自分をどう見ているかを知る力だ。
『insight』22ページ
外的自己認識に長けた人は、他人の視点から自分を理解できるので信頼度の高い関係を築くことができます。
多くの人にとって、厳しくつらい真実よりも、自己欺瞞ー自己認識と対極のものーを選ぶ方が楽だ。よくあることだが、その思い込みがあたかもインサイト(洞察、自分に対する気づき)のように感じられるときは、特にそちらへ流れてしまう。
『insight』18,19ページ
自己採点するEQのテストなどは、自己欺瞞に陥りやすいということですね。
絶対的な指標がない限り、相対的に判断するので「周囲に比べると」優秀で思いやり深いかもしれませんが、別の場所ではそうではないかもしれないので、自己欺瞞に陥りやすい環境もあるかもしれません。
自己認識のスキルは、気づくことで伸ばせる
自己認識については分かりましたが、どうやったら正しく自己認識できるのでしょうか?
著者の研究では「自己認識は驚くほど伸ばすことができるスキル」ということですので、ご一緒に学んでいきましょう。
まずは、正しく自己認識をするためにはどうすると良いと思いますか?
う~ん、自分自身のことについて考えてみても違うかもしれないので、信頼できる友人に聞いてみます。
率直に愛情を持って話してくれる人に聞けるとベストですね。
自分の気持ちや感情をよく知っている=自分がどう見られているかを察知する
この公式は、残念ながら著者の研究でも他の研究でも何の相関関係も見られないことが多いのです。
自分のことを考えるのが大好きなのに周りからどう見られているかはほとんど理解していない人がいる一方、周りからどう見えるかばかり気にして自分の幸福や成功につながる選択ができない人もいます。
要するに、真の意味で自分を知るには、自分自身を知ると同時に自分がどう見られているかを知る必要がある。
『insight』23ページ
どう見られているかを、どうやって知ることができるでしょうか?
直接聞いて、本音を話してもらえる関係の人にはそうしてもいいですが、基本的にはそうではない人がほとんどです。
ですので、他者の思考や感情を想像する力を得ることが重要です。
内側の視点と外側の視点の両方を持つこと自分自身のことや自分がどう見られているかを真に理解することができます。
どうやって想像するのでしょうか?すごく難しく感じます。
人それぞれに違いますが、私が気を付けていることは、自分の気持ちが反応した時です。他人が嫌なことを言っていたら「嫌だと感じる部分を自分も持っていないか?」と確認し、他人が失礼な行動をしていたら「自分も同じことをしていないか?」と確認します。いわゆる反面教師にしつつ「自分もしているな」と認識できたら改めるようにしています。
もちろん、良いことは真似します。
他人のミスや欠点を見つけるのは簡単ですが、自分のミスや欠点と向き合わずにいると自己欺瞞に陥り、その状態に気付かず、周囲から避けられる人になってしまいます。
他人のミスや欠点を見つけた時にいつも「自分はどうかな」と確認するようにしています。
そして、率直に間違いを指摘してくれる友人を大事にしています。
大人になったらもう誰も言ってくれないですもんね。言い方は考えて欲しいですが、率直に自分のために言ってくれる友人は大事にしたいです。
ただし、「あなたのために」と言ってくる人は注意が必要ですね。
自己認識のスキルを伸ばして、タスク管理に活用する
自分自身の厳しい現実から目を背けるのは、良くない結果を招くこともあります。
長期的に良い結果に結びつく方法のいくつかをタスク管理を活用しながら進める方法をご紹介します。それによって、今よりも仕事もやりたいことも進みやすくなるでしょう。
聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥と思って、しっかり現実を確認して、将来さらに仕事ができる自分を目指します!
自分の望みや期待通りに物事が進んでいない時、人は自分ではなく周りの環境に原因があると考え、最後まで疑わないのが自分自身の考えや行動です。ここをしっかりと認識することで、タスクもより進みやすくなることと思っています。
指示をちゃんとできたか(聴けたか)の確認を行うこと、チームの一員として協力できているかを確認してみること、適切に他者に共感できているかなど、折に触れて確認することで自己認識のスキルは高まっていきます。
正直、面倒そうですが、確認の回数が多いほど認識できますね。
自分の価値観や前提を疑い、予測と実際の結果を比較検証する
自分の価値観や前提を疑うことで、よりよいやり方を見つける。
「タスク管理も知っている」「時間も把握している」と思うだけでなく実際にやってみて事実と比較してみたり「どうせやっても無駄」という前提を横に置いて、今までのやり方でいいではなく、新しいやり方も受け入れてみると仕事もやりたいこともより進むかもしれません。
もっといい方法はない?と常により良い方法を探し続けることもおすすめの方法です。
人は思い込んだうえで、記憶を都合の良いようにすり替えるという特技を持っています。そこで、自分が予測したこと、仕事にかかる時間や、結果などをタスクに記入して、実際の結果と比較検証することで、自己認識も仕事もより進むようになります。
多くの場合、いい意味でも悪い意味でも結果が違うことが多いものです。いかに自分の思い込みが多いか、強いかを事実をもって認識することで、仕事ややりたいことも進みます。
良く知っていることも含めて、ひたすら学び続ける
すでによく知っていると思っていることを、学び続けることで仕事ややりたいことをさらにスムーズに進めます。
よく知っている分野でも、新しい情報を得たり、忘れていることを思い出したりして、自分の知識や情報が古いままにしないことも大事です。
よく知っている分野だからこそ、改めて学ぶことや、復習したいことをタスクにして定期的に取り組んでいきたいものです。
タスク管理パートナーも、日々タスク管理や生産性があがることについて勉強しています。
フィードバックを求め、自分の意見と同じように、他人の意見も重要視する
過去の予測と比較検討することは1人でもできるフィードバックですが、上司や同僚などにフィードバックを求めるのもいいでしょう。
聞いただけだと忘れてしまうので、やってみたいなと思ったフィードバックは聴きながらタスクにしてしまいましょう。
フィードバックを求める時は、どんなに納得がいかない意見であったとしても、きちんと聞いてまずは受け止めることが重要です。そうでなければフィードバックを受けることはできなくなります。
フィードバックを受ける側の姿勢も大事ですね。
自己認識を高めるために、他人の意見も同じように大事にしたいものです。もちろん中には聞かなくて良い意見もあるでしょう。もらった意見を実行するかどうかはあなた次第になります。
いろいろと確認したり、注意したりすることがあって大変ですね。
タスクを行う時に、マルチタスクでなく、シングルタスクをおすすめしているように、こちらも1つずつチャレンジしていきましょう。
著者も「私の知る最も劇的な改善を見せてきた人びとは、一度にひとつのことに集中する人が多い」と書いています。
たくさんあると思うと、動けなくなりますが、1つだけと思うと実践できそうです。
いいですね!著者もこのように書いています。実践あるのみです。
自己認識とは、充実した人生にとって必要条件ではあるが、十分条件ではないということだ。別の言い方をすれば、インサイトは、役立てない限り無駄なものである。
『insight』425ページ
何だか周囲から避けられている、いつも人間関係がうまくいかないと感じている・・・そんな方は一度自己認識について考えてみてもいいのかもしれません。
ただ、認識するのはなかなか難しい事なので、フルサポートプランの毎日の通話で気が付いたことを聞かせて下さい。ご要望があれば率直に感想も申し上げます。